不妊治療での着床不全を改善できる可能性がある子宮内膜再生増殖法 ERPとは？　矢野鍼灸整骨院

不妊治療における再生医療は「卵巣」と「子宮内膜」の2ヶ所に適用されます。

子宮内膜へのアプローチは人工授精と同じ方法で行います。

卵巣に比べて簡単な施術のため、卵巣に比べると費用は若干割安です。

もちろん金銭的には気軽に試せるような治療法ではなく、どれだけ効果が期待できるかも未知数です。

再生医療は始まったばかりの治療法です。

厚労省から許可が出ている治療法ではありますが、すべて自費治療になります。

「高い施術だから効果が高いとは限らない、効果は未知数で、限りなく低い可能性すらある」ことは、あらかじめ知っておきたいですね。

原因不明の着床不全、子宮内膜がなかなか厚くならないなど、子宮内膜にはまだ分からないことがたくさんあります。

着床不全、子宮内膜を厚くすることが難しい方には、選択肢のひとつになるかもしれません。

子宮内膜再生増殖法（ERP）の仕組みと方法

子宮の説明をする女性

卵巣への再生療法は採血した血液からサイトカインなどを抽出しますが、子宮内膜再生増殖法は月経血、または臍帯血（へその緒）から抽出します。

抽出されたサイトカインには細胞を刺激し育てる力があると言われ、子宮内膜の状態が良くなると考えられます。

臍帯血は一度でも出産経験がないと保管できないため、多くの方は月経血から採取します。（併せて100ccほど採血を行う医療機関もあります）

月経血を使用する場合は、月経1日～3日に来院し、月経血を採取します。

採取した血は分離器にかけ、幹細胞を取り出し30日間培養します。

この培養した幹細胞培養上清液を、排卵2～5日前に注入して完了します。

注入する方法は人工授精とほぼ同じなので、卵巣へのアプローチに比べると痛みはほとんどありません。

患者にとっては肉体的な負担が少ない上に、自分の細胞を使うため、ほぼ副作用の心配がないと言われています。

効果は、子宮内膜を厚くする効果は約60日～100日、着床不全解消は1周期のみと考えられています。

費用が非常に高いため、本当に導入すべきかよく検討すべきでしょう。

子宮内膜を改善し、着床率向上と流産率低下が期待されます

妊活　不妊治療　夫婦

良好な胚盤胞を移植しても着床しない方は、子宮内膜にサイトカインが少なくてうまく着床が誘導されないと考えられます。

そのため、2回以上良好な胚が着床しなかった場合に検討すると良いとされています。

たとえ着床しても、連続して早期流産する方も、適用対象です。

早期流産は赤ちゃん側に問題があることが多いですが、母体側に問題がある時があります。

子宮内膜再生増殖法（ERP）は、流産率を下げることは数値でもはっきり出ています。

薬などを使っても子宮内膜が厚くならない方も適用できます。

子宮内膜は一定の厚さがなければ妊娠率が下がりますが、血流を改善して女性ホルモン剤を投与しても、なかなか厚くならない体質の方がいます。

子宮内膜を厚くする治療は他にもありますが、なかなか決定打になる治療はありません。

その中で、子宮内膜再生増殖法（ERP）の効果の持続期間は限られていますが、妊娠率を上げる効果は期待できるかもしれません。

はらメディカルクリニックさんでは、以下の結果を公開しています。
・自己月経血由来ERP 注入周期　137周期
・臍帯由来ERP 注入周期　185周期
・非注入周期　597周期

この3グループにおける妊娠率、流産率を比べたところ、以下の結果が出ました。
妊娠率
・自己月経血由来ERP 注入周期（40歳未満）57.1％　（40歳以上）20.0％
・臍帯由来ERP 注入周期　（40歳未満）27.2％　（40歳以上）28.1％
・非注入周期　　（40歳未満）19.6％　（40歳以上）7.7％

流産率
・自己月経血由来ERP 注入周期（40歳未満）50.0％　（40歳以上）40.0％
・臍帯由来ERP 注入周期　（40歳未満）18.2％　（40歳以上）75.0％
・非注入周期　　（40歳未満）73.5％　（40歳以上）88.9％

一見すると革命的な数値に見えますが、この調査は40歳未満/40歳以上の方の数と年齢が非公開であることに留意すべきでしょう。

臍帯由来ERP 注入周期の40歳未満のグループが非常に成績が良いのは、一度でも妊娠出産したことがあること、かなり年齢が若い方が複数含まれている可能性があります。

妊娠中は排卵が止まり、卵巣にある卵子予備軍が温存されます。

そのぶん出産経験がない女性より長い間妊孕力を維持できる可能性があります。

それらを考慮した上でも、数値ではっきり見える程度には効果があることが分かります。

しかし、最大の問題は治療費です。

はらメディカルクリニックさんの場合は、1回70万円ほど必要です。（条件により金額は前後します）

経済状況にもよると思いますが、一般的なご家庭では、とても気軽にできる治療ではありません。

金額のことはしっかりと検討しましょう。

次回は子宮内膜再生増殖法（ERP）のデメリットとメリットを比較する方法、もし実践するならどのタイミングが最適かを紹介します。