不妊治療と前向きに向き合うために。今日からできるメンタルの保ち方
不妊治療中のメンタルケアは治療成功への重要な鍵です。本記事では、治療によるストレスや不安を和らげるための具体的な方法を専門家の視点から解説します。日常で取り入れられるセルフケア、パートナーとの関係強化、医療機関での適切なサポートの受け方まで、あなたのメンタルを守るための実践的なテクニックをご紹介。治療と向き合いながらも心の健康を保つバランスのとれた生活を送るためのヒントが満載です。つらい時期だからこそ、自分自身を大切にするメンタルの保ち方を身につけましょう。
1. 不妊治療中のメンタルヘルスの重要性
不妊治療を始めると、多くの方が身体的な負担だけでなく精神的な負担も同時に感じるようになります。治療が思うように進まないとき、周囲の妊娠報告を聞いたとき、治療費の請求書を見たとき――これらは多くの患者さんがストレスを感じる瞬間です。
不妊治療とメンタルヘルスの関係は、まさに切っても切れない関係にあります。心と体は密接につながっており、メンタルの状態が治療結果に影響を与える可能性も指摘されています。そのため、治療中のメンタルケアは単なる「あったら良いもの」ではなく、治療の重要な一部と考えるべきでしょう。
1.1 不妊治療がもたらす心理的負担とは
不妊治療を受ける過程では、さまざまな心理的負担が生じます。それは治療のステージによっても異なりますが、代表的なものをいくつか挙げてみましょう。
治療段階 | よくある心理的負担 |
---|---|
治療開始前 | 不安、恐怖、自責の念、パートナーへの申し訳なさ |
治療中 | ホルモン剤による感情の起伏、通院の疲れ、待ち時間のストレス |
結果待ち | 強い不安感、期待と恐れの混在、集中力の低下 |
結果後(成功) | 喜びと同時に流産への不安 |
結果後(不成功) | 落胆、自己否定感、無力感、悲しみ |
これらの感情は自然なものであり、決して「弱い」ということではありません。不妊治療中に感情の波を経験することは、むしろ正常な反応です。大切なのは、これらの感情をどう認識し、どう対処していくかということです。
特に多くの方が経験するのは「妊活うつ」と呼ばれる状態です。これは臨床的なうつ病の診断とは異なりますが、継続的な治療の負担から生じる抑うつ状態を指します。早い段階でのケアが重要です。
1.2 メンタルケアが治療成功率に与える影響
メンタルケアは単に「気持ちを楽にする」だけでなく、治療の成功率にも影響を与える可能性があります。研究によると、過度のストレスやうつ状態は:
- ホルモンバランスに影響を与える可能性がある
- 排卵や生理周期に影響を与えることがある
- 免疫機能に影響し、着床環境に変化をもたらす可能性がある
- 治療へのアドヒアランス(継続性)を低下させることがある
たとえば、ある研究では、認知行動療法などのストレス管理プログラムを受けた不妊治療患者の妊娠率が、そうでない患者に比べて向上したという報告もあります。
メンタルケアは「あったら良いもの」ではなく、治療の「必須要素」と考えるべきなのです。自分の気持ちを大切にすることは、単なる自己満足ではなく、治療成功のための重要な要素の一つなのです。
1.3 夫婦で支え合うことの大切さ
不妊治療は「個人」の問題ではなく「カップル」の問題です。しかし、同じカップルでも経験する感情や負担は異なることがあります。特に以下のような違いが生じやすいです:
- 身体的負担の非対称性(多くの場合、女性の方が検査や治療の負担が大きい)
- 感情表現の違い(パートナーによって感情の表し方は異なる)
- 対処メカニズムの違い(問題に直面したときの反応パターンの違い)
- 情報収集への関心度の違い(より詳しく知りたい方と、あまり詳細を知りたくない方の違い)
これらの違いがあるからこそ、オープンなコミュニケーションが不可欠です。お互いの気持ちを率直に伝え合い、理解しようとする姿勢が、夫婦としての結束を強めます。
また、パートナーとの関係を治療だけに焦点を当てたものにしないことも重要です。定期的なデートや、不妊治療とは関係のない会話の時間を意識的に作ることで、関係性のバランスを保つことができます。
時には専門家のカップルカウンセリングを受けることも有効な選択肢です。第三者の視点が入ることで、互いの理解が深まることもあります。
不妊治療中のメンタルヘルスは、治療の結果だけでなく、その過程での生活の質にも大きく影響します。自分自身のためにも、パートナーとの関係のためにも、そして何より治療の成功のためにも、メンタルケアを疎かにしないことが大切です。
2. 不妊治療中に起こりやすい心理的ストレスとその対処法
不妊治療を続けていると、さまざまな心理的ストレスに直面することがあります。これらのストレスを理解し、適切に対処することは、治療を続けていく上で非常に重要です。ここでは、治療中によく経験される心理的な負担と、それぞれの対処法について詳しく解説します。
2.1 治療の長期化によるモチベーション低下
不妊治療は短期間で結果が出るとは限りません。多くの方が数か月、時には数年に渡って治療を続けることになります。その過程で、「いつまで続けるべきか」「このまま続けて意味があるのか」といった思いに悩まされることは自然なことです。
治療が長期化すると、当初の意欲や希望が徐々に薄れ、精神的な疲労が蓄積していきます。特に、周囲の友人や知人が次々と妊娠・出産する様子を見ると、焦りや孤独感が強まることも少なくありません。
2.1.1 モチベーション維持のための具体的な対処法
治療の長期化によるモチベーション低下に対しては、以下のような対処法が効果的です:
- 短期的な目標設定:「妊娠」という大きな目標だけでなく、「今月は健康管理に集中する」など、達成可能な小さな目標を設定する
- 定期的な振り返り:3ヶ月ごとに治療の進捗や自分の気持ちを振り返る時間を作る
- 休息期間の設定:連続した治療による疲労を防ぐため、計画的に休息期間を設ける
- 治療日記の活用:治療の経過や感情を記録することで、客観的に自分の状況を把握する
また、治療に関する新しい情報を適度に取り入れることで、モチベーションを維持する方も多いようです。ただし、情報過多によるストレスには注意が必要です。
2.2 周囲との比較による焦りや不安
SNSの普及により、他の人の妊娠・出産報告を目にする機会が増えています。また、同時期に治療を始めた知人が先に妊娠すると、「自分だけが取り残された」という感覚に襲われることがあります。
他者との比較は、自己否定感や無力感を招き、治療へのモチベーションを大きく下げる要因となります。特に、年齢を重ねるにつれて「時間との戦い」という焦りが強まりやすいのも事実です。
2.2.1 比較による不安を軽減する方法
周囲との比較によるストレスを軽減するためには:
- SNSの利用時間を制限する、または一時的に離れる
- 自分のペースを大切にする意識を持つ(人それぞれタイミングがあることを受け入れる)
- 「比較」ではなく「参考」として他の方の経験を見る視点を持つ
- 自分自身の小さな進歩や変化に目を向ける習慣をつける
また、羨ましいと感じる気持ちが湧いたときには、その感情を否定せず「自然な感情である」と受け止めることも大切です。
2.3 治療費の負担によるストレス
不妊治療の費用は決して安くありません。特に高度生殖医療になると、1回の治療で数十万円かかることもあります。経済的な負担は、単に金銭面だけでなく、「これだけのお金をかけて結果が出なかったらどうしよう」という心理的プレッシャーにもつながります。
治療段階 | 主な費用目安(助成金適用前) | 心理的な影響 |
---|---|---|
タイミング法 | 数千円〜数万円/月 | 比較的負担は少ないが、長期化すると累積額に不安 |
人工授精 | 1〜5万円/回 | 回数を重ねるごとに費用対効果を考えるストレス |
体外受精 | 30〜50万円/回 | 高額な投資に対する成功へのプレッシャー |
顕微授精 | 35〜60万円/回 | 「最後の手段」という心理的重圧 |
2.3.1 経済的ストレスへの対処法
経済的な不安を軽減するためには、計画性と情報収集が重要です。具体的には:
- 治療費用の「見える化」:今後必要になる可能性のある費用を試算し、家計の中での位置づけを明確にする
- 助成金制度の積極的活用:自治体の助成制度や保険適用範囲について最新情報を収集する
- 治療資金の専用口座設定:治療にかけられる金額を明確にし、心理的な安心感を得る
- パートナーとの定期的な金銭面の話し合い:経済的な負担を一人で抱え込まない
また、「いくらまでなら投資できるか」をパートナーと事前に話し合っておくことで、治療の節目での判断がしやすくなります。
2.4 失敗や流産を経験した後のメンタルの立て直し方
治療の失敗や、妊娠しても流産を経験することは、深い悲しみと喪失感をもたらします。特に流産は、一度希望を持った後だけに、その落胆は計り知れません。
悲しみのプロセスを無理に抑え込まず、十分に感情を味わうことが、実は回復への近道となります。悲しみや怒り、無力感などの感情は、喪失に対する自然な反応であり、これらの感情を経験することで、少しずつ受容へと向かっていくのです。
2.4.1 心の回復のためのステップ
失敗や流産後のメンタル回復には、以下のようなプロセスが役立ちます:
- 感情を表現する時間を持つ:日記を書く、信頼できる人に話す、涙を流すなど
- 専門家のサポートを受ける:必要に応じてカウンセリングを利用する
- 自分を責めない意識を持つ:失敗や流産の多くは自分の行動とは無関係であることを理解する
- 次のステップを考える前に十分な休息期間を設ける:心と体の回復を優先する
- 小さな喜びを日常に取り入れる:趣味や好きな食事など、癒しとなる活動を意識的に行う
パートナーとの間で悲しみの表現方法や回復のペースが異なることもあります。お互いの違いを理解し、尊重することで、二人の絆はむしろ深まることがあります。
また、同じ経験をした方々のサポートグループに参加することで、「自分だけじゃない」という共感と安心を得られることもあります。オンラインコミュニティなら、匿名性を保ちながら気持ちを共有することも可能です。
不妊治療中の心理的ストレスは複合的であり、一人で抱え込むには重すぎることもあります。自分の感情を大切にしながら、適切なサポートを受けることで、心の安定を取り戻し、治療に前向きに取り組める力を育んでいきましょう。
3. 医療機関でのメンタルサポートを活用する方法
不妊治療は身体だけでなく心にも大きな負担がかかるプロセスです。多くの治療施設では、専門的なメンタルサポートが提供されていますが、上手に活用できている方は意外と少ないのが現状です。ここでは、治療中に利用できる心理的サポートとその効果的な活用法について解説します。
3.1 不妊カウンセラーへの相談のタイミング
不妊カウンセラーは、治療過程で生じる様々な感情や悩みに寄り添い、専門的な視点からサポートしてくれる存在です。しかし、「どのタイミングで相談すべきか」と迷う方も多いでしょう。
以下のような状況が見られたら、カウンセリングの利用を検討するタイミングかもしれません:
- 治療への不安や恐怖感が強く、日常生活に支障が出始めている
- パートナーとの間で治療方針について意見の相違がある
- 治療の失敗や流産などのつらい経験の後、気持ちの整理がつかない
- 治療に対するモチベーションが維持できなくなってきた
- 周囲との関係性に変化や緊張が生じている
大切なのは、「限界まで我慢する」のではなく、早めの段階で専門家に相談することです。多くの施設では初回カウンセリングを無料や割引価格で提供していることもあるため、まずは気軽に利用してみることをお勧めします。
3.1.1 カウンセリング予約前の準備
カウンセリングをより効果的に利用するためには、事前に以下のポイントを整理しておくと良いでしょう。
- 現在の心理状態で特に気になること
- これまでの治療経過の簡単なまとめ
- パートナーとの関係で気になっていること
- カウンセリングで特に話し合いたいテーマ
3.2 担当医とのコミュニケーションの取り方
不妊治療において、担当医との良好な関係構築は非常に重要です。しかし、診察時間は限られており、緊張から質問を忘れてしまうこともあります。効果的なコミュニケーションのためのポイントをご紹介します。
3.2.1 診察前の準備
限られた診察時間を有効に使うために、事前準備が重要です。
準備項目 | 具体的な内容 |
---|---|
質問リスト | 事前に聞きたいことをメモしておく(優先順位をつける) |
体調記録 | 基礎体温、副作用、気になる症状などを記録しておく |
前回からの変化 | 生活習慣や心理状態の変化をまとめておく |
パートナーの意見 | 一緒に診察に行けない場合は、パートナーの質問も預かっておく |
診察中は遠慮せずに自分の不安や心配を伝えることが大切です。特に心理面での負担が大きい場合は、率直に伝えましょう。理解ある担当医は適切なサポートへの橋渡しをしてくれるはずです。
3.2.2 説明が理解できないときの対処法
医学用語や治療内容が理解できない場合は、以下のようなフレーズを使って質問すると効果的です:
- 「もう少し簡単な言葉で説明していただけますか?」
- 「私の理解が正しいかを確認させてください…」
- 「具体的にどういう意味なのか、例を挙げていただけますか?」
- 「この情報を家で復習したいので、参考になる資料はありますか?」
また、重要な説明の際はメモを取ることや、パートナーと一緒に診察を受けることで理解度が高まります。
3.3 医療機関が提供する心理サポートプログラム
近年、多くの不妊治療施設では様々な心理サポートプログラムを提供しています。これらは治療中の精神的負担を軽減し、QOL(生活の質)を向上させるために重要な役割を果たします。
3.3.1 主な心理サポートプログラムの種類
施設によって提供内容は異なりますが、代表的なものには以下があります:
プログラム | 内容と特徴 | メリット |
---|---|---|
個別カウンセリング | 専門カウンセラーとの1対1の面談 | 個人の状況に合わせた詳細なサポートが受けられる |
夫婦カウンセリング | パートナーと一緒に受けるカウンセリング | お互いの理解を深め、協力体制を強化できる |
グループセラピー | 同じ経験をしている方々との少人数セッション | 孤独感の軽減、経験のシェアによる安心感 |
リラクゼーションクラス | ヨガやマインドフルネスなどのクラス | 身体的リラックスとストレス軽減 |
情報提供セミナー | 治療や心理面に関する講座 | 正確な知識を得ることでの不安軽減 |
これらのプログラムは治療と並行して利用することで、心身のバランスを保ちながら治療に臨むことができます。多くの場合、予約制となっていますので、事前に利用方法を確認しておくとスムーズです。
3.3.2 心理サポートの費用と保険適用
不妊治療の心理サポートの費用体系は施設によって異なります。一部のプログラムは治療費に含まれている場合もありますが、多くは別途費用が発生します。最近では一部の自治体で心理カウンセリングへの助成制度を設けているケースもありますので、居住地域の制度も確認してみると良いでしょう。
なお、心理的な症状が強い場合は、心療内科や精神科の受診も検討できます。こちらは保険適用となることが多いため、経済的負担を軽減できる可能性があります。
3.3.3 オンラインサポートの活用
近年、特にコロナ禍以降、オンラインでの心理サポートも充実してきています。通院の負担が軽減されるだけでなく、自宅という安心できる環境でカウンセリングを受けられるメリットがあります。
- オンラインカウンセリング(ビデオ通話)
- チャット形式のカウンセリング
- オンライングループセッション
- 自己学習用のeラーニングプログラム
これらのサービスは、特に地方在住の方や仕事で忙しい方にとって利便性が高いでしょう。
医療機関のメンタルサポートは、治療成績を向上させるだけでなく、不妊治療という長いプロセスを心身ともに健康に過ごすための重要な鍵となります。治療開始時から積極的に活用することで、より前向きに治療に取り組むことができるでしょう。
4. 日常生活でできるメンタルの保ち方と自己ケア
不妊治療は長期にわたることが多く、日々の生活の中でメンタルケアを意識することが重要です。専門家のサポートを受けることも大切ですが、日常生活の中で自分自身でできるケアも治療を乗り切るための大きな力になります。ここでは、毎日の生活に取り入れやすいセルフケア方法をご紹介します。
4.1 ストレス発散に効果的な運動療法
適度な運動は心身のストレス発散に効果的です。不妊治療中は激しい運動は避けるべき場合もありますが、軽い運動は精神状態を整えるのに役立ちます。
運動にはセロトニンやエンドルフィンといった「幸せホルモン」の分泌を促進する効果があります。これらは自然な抗うつ作用を持ち、気分を明るくしてくれます。
4.1.1 不妊治療中におすすめの運動
運動の種類 | メリット | 注意点 |
---|---|---|
ウォーキング | 負担が少なく、いつでもどこでも実践可能 | 20〜30分程度を目安に無理のない範囲で |
ヨガ | 心身のリラックス効果、呼吸法も学べる | 不妊治療専門のヨガクラスもあり |
ストレッチ | 自宅で簡単に実践できる | 朝晩の習慣にすると効果的 |
水中ウォーキング | 関節への負担が少ない | 体温の急激な変化に注意 |
運動は無理せず「楽しい」と感じられるものを選ぶことが継続のコツです。パートナーと一緒に行うことで、コミュニケーションの機会にもなります。
4.2 マインドフルネスと瞑想の取り入れ方
マインドフルネスとは「今この瞬間に意識を向ける」という心の持ち方で、不妊治療中の不安や将来への心配から解放されるのに役立ちます。
研究によれば、マインドフルネス実践者は不安やストレスが軽減され、全体的な幸福感が高まることが示されています。特に不妊治療中の方には効果的なメンタルケア方法です。
4.2.1 初心者でも始められるマインドフルネスの実践方法
1. 呼吸に集中する瞑想(5分間)
- 静かな場所で椅子に座るか床に座ります
- 目を閉じて、鼻から息を吸い、口から吐き出すことに意識を集中します
- 思考が浮かんできても、judgementをせず、再び呼吸に戻ります
2. ボディスキャン(10分間)
- 仰向けに寝転がり、足の先から頭まで、順番に体の各部分に意識を向けます
- 各部位の感覚に気づき、緊張があれば緩めていきます
3. 日常のマインドフルネス
- 食事を味わう:一口ずつ味や食感を意識して食べる
- 歩く瞑想:歩きながら足の感覚や周囲の音に意識を向ける
- シャワータイム:水の感触や音、温度を意識する
スマートフォンのアプリ「Headspace」や「Calm」には日本語対応のガイド付きマインドフルネスプログラムもあります。最初は3分程度の短い時間から始めて、徐々に時間を延ばしていくのがおすすめです。
4.3 睡眠の質を高める工夫
質の良い睡眠はメンタルヘルスの基盤となります。特にホルモン治療中は睡眠に影響が出ることもあるため、意識的に睡眠環境を整えることが大切です。
睡眠不足は不安やイライラを増強させるだけでなく、ホルモンバランスにも悪影響を与える可能性があります。良質な睡眠は心の回復力を高めます。
4.3.1 睡眠の質を高めるための7つのポイント
ポイント | 具体的な実践方法 |
---|---|
規則正しい睡眠スケジュール | 週末も含めて同じ時間に就寝・起床する |
寝室環境の整備 | 温度18~23℃、湿度50~60%、遮光カーテン使用 |
ブルーライトの制限 | 就寝1時間前からスマホやパソコンの使用を控える |
リラックスルーティン | 入浴、ストレッチ、読書など落ち着く活動を習慣に |
カフェイン・アルコールの制限 | 午後以降のカフェイン摂取を避け、アルコールは適量に |
寝具の見直し | 自分に合った枕や敷布団を選ぶ |
アロマテラピー | ラベンダーやカモミールなどリラックス効果のある香りを活用 |
どうしても眠れない夜は、無理に眠ろうとせず、起き上がって読書など静かな活動をし、眠気が来たら再び横になるという方法も効果的です。睡眠導入剤の使用は必ず専門家に相談しましょう。
4.4 栄養バランスとメンタルヘルスの関係
私たちの食事は身体だけでなく、心の健康にも大きく影響します。特に不妊治療中は、ホルモンバランスや体調の変化に対応するため、栄養バランスに配慮した食事が重要です。
腸内環境と脳は密接に関係しており、バランスの良い食事は「腸脳相関」を通じてメンタルヘルスをサポートすると言われています。
4.4.1 メンタルヘルスをサポートする栄養素と食品
栄養素 | 効果 | 含まれる食品 |
---|---|---|
オメガ3脂肪酸 | 抗炎症作用、脳機能サポート | 青魚(サバ、サンマ)、クルミ、亜麻仁油 |
ビタミンB群 | 神経伝達物質の生成をサポート | 全粒穀物、豆類、緑黄色野菜 |
ビタミンD | 気分調整、免疫機能サポート | きのこ類、卵黄、適度な日光浴 |
マグネシウム | 筋肉のリラックス、睡眠の質向上 | ナッツ類、豆類、海藻、緑葉野菜 |
食物繊維 | 腸内環境改善 | 野菜、果物、海藻、きのこ |
発酵食品 | プロバイオティクス摂取 | 味噌、納豆、キムチ、ヨーグルト |
栄養バランスを整える方法としては、「一汁三菜」の日本の伝統的な食事スタイルが理想的です。また、食事の時間や環境も大切にし、ゆっくりと味わって食べることでリラックス効果も得られます。
4.4.2 セルフケアとしての料理タイム
料理をする時間自体がマインドフルネス活動になり得ます。食材を切る、混ぜる、香りを楽しむなど、五感を使って「今」に集中することで、不安や心配から離れる時間を作ることができます。
パートナーと一緒に料理をする時間は、治療のことを忘れて楽しむ貴重な機会にもなります。週末に新しいレシピに挑戦するなど、料理を通じた小さな達成感を味わうことも心の支えになります。
4.4.3 自分を大切にする小さな習慣
日常生活でのセルフケアは、特別なことではなく、自分を大切にする小さな習慣の積み重ねです。「今日は何をしたら自分が少し元気になれるだろう?」と問いかけ、その日の自分に必要なケアを選ぶことが大切です。
- リラックスできる音楽を聴く時間を作る
- 好きな香りのキャンドルや入浴剤を使う
- 気分転換になる映画や本を楽しむ
- 日記をつけて感情を整理する
- 自然の中で過ごす時間を作る
完璧を求めず、「今できること」を少しずつ実践していくことが、長期にわたる不妊治療を乗り越えるための心の強さを育みます。セルフケアの習慣は、治療後の人生においても大切な財産となるでしょう。
5. 不妊治療中のパートナーシップを強化する方法
不妊治療は夫婦二人で乗り越える大きな課題です。治療期間が長期化するにつれ、お互いの気持ちにすれ違いが生じたり、コミュニケーションが減ったりすることがあります。この章では、不妊治療を共に乗り越えるためのパートナーシップの強化方法について解説します。
5.1 お互いの気持ちを共有するコミュニケーション術
不妊治療中は、お互いのストレスや不安を共有することが重要です。しかし、相手を心配させないよう自分の気持ちを抑え込んでしまうケースも少なくありません。
定期的な「気持ち共有タイム」を設けることで、お互いの心情を理解し合う機会を作りましょう。例えば、週に一度30分程度、治療や気持ちについて話し合う時間を決めておくと効果的です。
ポイントは以下の通りです:
- 相手の話を遮らず、最後まで聞く
- 感情を否定せず、まずは受け止める
- 「あなたはどう感じているの?」と積極的に質問する
- 解決策を急がず、共感することを優先する
ただし、常に治療の話ばかりすることは避けましょう。互いのメンタルヘルスのためにも、時には意識的に治療の話題から離れることも大切です。
5.1.1 「私メッセージ」を活用する
感情を伝える際は「あなたは〜」という言い方ではなく、「私は〜と感じる」という「私メッセージ」を使うことで、非難せずに自分の気持ちを伝えられます。
非難となる言い方 | 「私メッセージ」による伝え方 |
---|---|
「あなたは全然協力してくれない」 | 「私は一人で抱え込んでいる感じがして辛いです」 |
「あなたはわかってくれない」 | 「私の気持ちをもっと理解してほしいと感じています」 |
「なんでそんなことを言うの?」 | 「その言葉を聞いて、私は傷ついてしまいました」 |
5.2 治療以外の時間を大切にする意識
不妊治療は生活の一部に過ぎません。治療に意識が集中しすぎると、夫婦関係がぎくしゃくしたり、お互いへの愛情表現が減ったりすることがあります。
二人の関係性を再確認するために、治療と関係のない時間や活動を意識的に作ることが重要です。以下のような取り組みを試してみましょう:
- 月に1回は特別なデートの日を設ける
- 新しい趣味や活動を二人で始める
- 将来の夢や目標について治療以外の話をする
- お互いの良いところを定期的に伝え合う
特に、笑いを共有することはストレス軽減とパートナーシップ強化に効果的です。一緒にコメディ映画を観たり、楽しい思い出を振り返ったりして、笑顔で過ごす時間を意識的に増やしましょう。
5.2.1 スキンシップの大切さ
不妊治療中は、性行為が「妊娠するため」という目的に変わってしまい、愛情表現としての意味が薄れがちです。スケジュールに縛られた性生活によって親密さが減ることも。
手をつなぐ、ハグする、マッサージをするなど、プレッシャーのない親密なスキンシップを大切にしましょう。これらは二人の絆を深め、お互いへの安心感を高めます。
5.3 パートナーのサポート方法
不妊治療は特に女性の身体的・精神的負担が大きくなりがちです。パートナーが適切なサポートをすることで、二人で治療に向き合う体制を作ることができます。
5.3.1 男性パートナーができるサポート
男性は「問題解決」よりも「傾聴と共感」を優先することで、より良いサポートになります。具体的には:
- 通院に同行し、情報を共有する
- 治療内容や薬について一緒に学ぶ
- 注射などの医療行為を手伝う
- 家事の分担を増やし、身体的な負担を減らす
- 「大丈夫?」と定期的に声をかける
また、男性自身のストレスケアも怠らないことが大切です。男性は自分の不安や心配を表現しにくい傾向がありますが、抱え込まずに信頼できる友人や専門家に相談することも検討しましょう。
5.3.2 女性パートナーができるサポート
女性が男性パートナーをサポートする方法としては:
- 男性の気持ちや考えも尊重する
- 治療の情報を共有し、一緒に決断する
- 男性不妊の場合は特に、自尊心を傷つけないよう配慮する
- 感謝の気持ちを言葉で伝える
不妊治療では女性側の負担が目立ちやすいですが、男性も様々なプレッシャーを感じています。お互いの心情を思いやることで、より強いパートナーシップを築くことができます。
5.3.3 一緒に決断するための方法
不妊治療では、治療方針の変更や次のステップに進むかどうかなど、重要な決断を迫られることがあります。こうした決断を二人で行うためのポイントは:
決断の段階 | 具体的な方法 |
---|---|
情報収集 | 二人で情報を集め、リストアップする |
意見交換 | 各自の希望や懸念を率直に伝え合う |
メリット・デメリット分析 | 選択肢ごとに利点と欠点を書き出す |
時間をおく | すぐに決めず、考える時間を持つ |
最終決断 | 二人の合意を得られる選択を行う |
どんな決断でも、二人が納得して前に進むことが最も重要です。意見が分かれた場合は、妥協点を探るか、専門家のアドバイスを求めることも検討しましょう。
不妊治療は夫婦の絆を試す困難な時期ですが、適切なコミュニケーションと相互理解によって、二人の関係をさらに強固なものにすることができます。そして、この経験を通じて育まれた強いパートナーシップは、将来どのような結果になっても、二人の大きな財産となるでしょう。
6. 周囲のサポートを上手に活用する方法
不妊治療は長い道のりになることが多く、精神的にも体力的にも疲れを感じることがあります。そんなとき、周囲の理解とサポートがあれば、大きな支えになります。しかし、不妊の悩みは他人には理解されにくい面もあるため、適切なコミュニケーション方法を知ることが重要です。
6.1 家族や友人に理解してもらうためのコミュニケーション
親しい人たちに不妊治療について話すことは勇気がいりますが、適切に伝えることで大きなサポートを得られるようになります。
自分の状況を伝える際は、相手を選んで話すことが大切です。まずは理解してくれそうな家族や友人から少しずつ伝えていきましょう。
伝え方のポイントとしては、以下の点に気をつけると効果的です:
- 自分が今どんな治療をしているのか具体的に説明する
- どのようなサポートがあると助かるかを明確に伝える
- 相手に求めることと求めないことを区別して伝える
- 質問されて答えたくないことには「今はその話題は避けたい」と正直に伝える
例えば「妊娠の話題は今は少し辛いので、別の話をしてもらえると嬉しい」といった具体的な伝え方が効果的です。また、相手の善意からの言葉でも傷つくことがあることを理解してもらうよう努めましょう。
言われて辛い言葉の例 | 代わりに求めたいサポート |
---|---|
「気にしすぎ」「リラックスすれば」 | 「大変だね」と共感の言葉をかけてほしい |
「〇〇さんも頑張ったよ」 | 他の人との比較ではなく自分の頑張りを認めてほしい |
「いつ子どもができるの?」 | そのような質問は控えてほしい |
6.2 職場での理解を得るための伝え方
不妊治療を続けながら仕事を両立させるためには、職場の理解も欠かせません。特に通院のための休暇が必要な場合、適切なコミュニケーションが重要です。
職場に伝える際は、必要最小限の情報から始めることがポイントです。まずは直属の上司や人事担当者など、業務調整に関わる人に限定して話しましょう。
効果的な伝え方としては:
- 「定期的な通院が必要な治療をしている」という程度の説明から始める
- 治療のために必要な配慮(急な休暇、時間単位の休み等)を明確に伝える
- 自分なりの業務カバー案も一緒に提案する
- 詳細を聞かれても、答えたくない質問には丁寧に境界線を引く
最近では不妊治療と仕事の両立支援に関する制度を設けている企業も増えています。人事部に相談して、利用できる制度がないか確認してみるのも一つの方法です。
6.2.1 両立支援のための職場制度の例
- 不妊治療休暇制度
- 時差出勤制度
- 在宅勤務制度
- 時間単位の有給休暇制度
- フレックスタイム制度
6.3 同じ経験を持つ人とのつながりを作る場
時に最も心強いサポートとなるのは、同じ経験をしている、または経験したことのある人たちとのつながりです。同じ悩みを共有できる仲間がいることで、孤独感が和らぎ、具体的な情報交換もできます。
6.3.1 つながりを作る方法
- ピアサポートグループへの参加
- 不妊当事者団体が主催するイベントやセミナーへの参加
- オンラインコミュニティへの参加
- SNSでの同じ経験を持つ人とのつながり
特にオンラインコミュニティは、時間や場所を選ばず参加できるメリットがあります。「妊活」「不妊治療」などのキーワードで検索すると、様々なコミュニティを見つけることができます。
コミュニティの種類 | 特徴 | 利用時の注意点 |
---|---|---|
当事者団体のサポートグループ | 専門家のサポートがある場合が多い | 開催場所や頻度に制限あり |
SNSの非公開グループ | 匿名で気軽に参加できる | 情報の正確性の確認が必要 |
専門アプリのコミュニティ機能 | 妊活に特化した情報交換が可能 | 個人情報の取り扱いに注意 |
仲間との交流で得られるのは情報だけではありません。自分だけが悩んでいるわけではないと知ることで心が軽くなったり、先に進んでいる人の経験から希望を見出したりすることができます。
ただし、オンラインコミュニティでは時に不正確な情報が流れることもあるため、医学的な情報については必ず専門家に確認するようにしましょう。また、他の人との比較で自分を追い込むことがないよう、自分の心の状態に合わせて適度な距離感を保つことも大切です。
周囲のサポートを上手に活用することで、不妊治療の道のりはより歩みやすくなります。自分に合ったサポートの形を見つけ、必要なときに助けを求める勇気を持ちましょう。
7. 不妊治療とライフバランスの両立
不妊治療は時間的・身体的・精神的に大きな負担となりますが、治療だけが生活のすべてになってしまうとストレスがさらに増加します。持続可能な形で治療を続けるためには、仕事やプライベートとのバランスを取ることが重要です。
7.1 仕事と治療の両立テクニック
不妊治療と仕事の両立は多くの方が直面する課題です。病院の通院や検査のために休暇を取る必要があり、キャリアへの影響を心配する声も少なくありません。
両立のためのポイント | 具体的な方法 |
---|---|
通院スケジュールの工夫 | 早朝診療や土日診療を行っている施設を選ぶ |
上司・同僚への伝え方 | 必要最小限の情報共有と前向きな協力依頼 |
テレワークの活用 | 可能な範囲でリモートワークを取り入れる |
時短勤務の検討 | 治療の重要な時期だけ時短勤務を利用する |
また、治療と仕事の両立をサポートする制度も増えています。不妊治療休暇制度を導入している企業や、治療費の一部を補助する福利厚生を設けている職場もあります。自治体によっては助成金制度もあるため、利用できる制度を事前に調べておくことをおすすめします。
上司に伝える際は、「いつまで」「どのくらいの頻度で」「どのように業務をカバーするか」といった具体的な計画を持って話すと理解を得やすくなります。また、すべてを一人で抱え込まず、信頼できる同僚に協力を仰ぐことも大切です。
7.2 趣味や楽しみを維持することの重要性
不妊治療に集中するあまり、以前は楽しんでいた趣味や活動を諦めてしまう方が多くいます。しかし、それらの活動は貴重なストレス発散の機会であり、心のバランスを保つために非常に重要です。
趣味の時間を確保することで得られるメリットには以下のようなものがあります:
- 治療のことを一時的に忘れ、リフレッシュできる
- 達成感や満足感を得られる機会になる
- 自分自身のアイデンティティを保つことができる
- 新たな人間関係の構築につながる可能性がある
特に「治療のことを考えない日」を週に1〜2日設けることで、精神的な余裕が生まれます。友人との食事や旅行、映画鑑賞など、自分が純粋に楽しめる活動を意識的にスケジュールに組み込みましょう。
また、新しい趣味にチャレンジすることも効果的です。アロマテラピー、ガーデニング、ヨガ、料理教室など、治療とは全く関係のない分野で自分の成長を感じられる活動を取り入れてみてください。
7.3 自分自身を責めない考え方
不妊治療中は、自分の体を責めたり、「もっと早く治療を始めていれば」と後悔したりしがちです。しかし、そのような自己批判的な思考は心の健康を損ない、結果として治療にも良い影響をもたらしません。
自分を責めない考え方を身につけるためのステップ:
- 完璧主義から卒業する – 治療においても100%の結果を求めすぎないことが大切です
- 「〜すべき」という思考パターンに気づく – 「〜したい」という主体的な表現に置き換えてみましょう
- 小さな成功や進歩を認める – 一歩一歩の前進を自分で褒める習慣をつけましょう
- 自分に対して話しかける言葉を優しくする – 友人に対して使うような言葉で自分と対話してみましょう
「不妊は誰かのせいではなく、起こりうる健康状態の一つ」という視点を持つことが大切です。健康状態に対して自己責任を感じるのではなく、それに向き合うための選択肢を探す姿勢を大切にしましょう。
自分を責める気持ちが強い場合は、「セルフ・コンパッション(自己慈悲)」のワークを取り入れるのも効果的です。自分自身に対して思いやりの気持ちを持ち、苦しい状況にあることを認め、人間として完璧でなくても良いと受け入れる練習をしましょう。
7.3.1 日々の生活にマインドフルネスを取り入れる
治療のことだけでなく「いま、ここ」に意識を向けるマインドフルネスの実践は、不安や心配事から距離を置く助けになります。日常の何気ない瞬間—お茶を飲む時間、散歩をする時間—に意識的に五感を使って体験することで、現在の瞬間に集中する力が養われます。
スマートフォンのアプリでも手軽にマインドフルネス瞑想を始められるものが多く出ています。1日5分からでも継続することで、徐々に心の安定が得られるでしょう。
7.3.2 治療と生活のメリハリをつける工夫
治療に関する情報収集や考え事をする「治療タイム」を決めておき、それ以外の時間は意識的に別のことに取り組むよう心がけましょう。これにより、治療が生活全体を占める状況を避けることができます。
例えば、通院日の夜だけ治療について話し合う時間を設け、その他の日は日常生活を楽しむことに集中するといったルールを夫婦で決めておくのも一つの方法です。
結論として、不妊治療は長期戦になることも多いため、生活全体のバランスを保ちながら取り組むことが何よりも重要です。仕事や趣味、人間関係など多面的な生活を維持することで、治療中のストレスに対する耐性も高まります。自分自身のメンタルヘルスを最優先に考え、無理のないペースで治療と向き合っていきましょう。
8. 専門家が勧めるメンタルケアのテクニック
不妊治療中は様々な感情の起伏に直面しますが、専門家によると効果的なメンタルケア技術を取り入れることで、心の安定を図ることができます。ここでは、心理学の専門知識に基づいた実践的なテクニックを紹介します。
8.1 認知行動療法を活用した考え方の転換
認知行動療法(CBT)は、ネガティブな思考パターンを識別し、より健全な考え方に置き換える心理療法です。不妊治療中に役立つCBTの実践方法をご紹介します。
8.1.1 自動思考を書き出す習慣
「自分には価値がない」「絶対に妊娠できない」といった自動的に浮かぶネガティブな考えを日記に書き出すことで、思考パターンを客観視できるようになります。まずは1週間、毎日3つずつ気になる思考を記録してみましょう。
8.1.2 思考の歪みを識別する
不妊治療中によく見られる思考の歪みには以下のようなものがあります:
思考の歪みのタイプ | 例 | 対処法 |
---|---|---|
白黒思考 | 「一回失敗したら、もう成功はない」 | グレーゾーンを認識する訓練 |
過度の一般化 | 「今回ダメだったから、これからもずっとダメ」 | 個別の事象として捉える練習 |
心のフィルター | 「検査結果の良い部分より悪い部分だけに注目」 | 意識的に良い面にも目を向ける |
感情的推論 | 「不安だから、きっと悪いことが起こる」 | 感情と事実を区別する |
これらの歪みを認識できたら、より現実的で建設的な考え方に置き換える練習をしましょう。
8.1.3 代替思考を育てる
ネガティブな思考が浮かんだら、「それは本当だろうか?」「別の見方はないだろうか?」と自問自答してみましょう。例えば「この治療法は私には合わない」という思考に対して「まだ体が適応する過程かもしれない」と考えるなど、複数の視点を持つことが大切です。
8.2 ポジティブ心理学に基づくメンタル強化法
ポジティブ心理学は、人間の強みや幸福感に焦点を当てた心理学の一分野です。不妊治療中のメンタル強化に役立つアプローチを見ていきましょう。
8.2.1 感謝日記の習慣化
毎晩寝る前に、その日あった小さな幸せや感謝できることを3つ書き出す習慣をつけると、脳が前向きな出来事に注目するよう再訓練されます。不妊治療の過程でも、様々な感謝できる瞬間を見つけることができるでしょう。
8.2.2 強み発見エクササイズ
自分の性格的な強みを活かす機会を意識的に作ることで、自己効力感が高まります。「VIA性格強み調査」などのオンラインテストで自分の強みを発見し、それを日常生活や治療過程で活かす方法を考えてみましょう。
8.2.3 意味探しの実践
困難な経験に意味を見出すことで、レジリエンス(回復力)が高まります。「この経験から何を学べるか」「この経験が将来どのように役立つか」を考える時間を持ちましょう。多くの人が不妊治療の経験を通して、人生の優先順位を再評価したり、より深い夫婦関係を築いたりしています。
8.3 ストレス軽減のためのリラクゼーション法
生理的なストレス反応を和らげるリラクゼーション技術は、不妊治療中の心身の安定に特に重要です。
8.3.1 段階的筋弛緩法
全身の筋肉を順番に緊張させてから解放することで、身体的緊張を効果的に緩和できます。特に治療前の緊張時や就寝前に効果的です。以下の手順で行います:
- 安楽な姿勢で座るか横になります
- 足先から始めて、各筋肉群を5〜10秒間強く緊張させます
- 急に力を抜いて、30秒間その解放感を味わいます
- 足、脚、腹部、胸、腕、顔と上に進みます
週3回、10分間の実践を目標にしましょう。
8.3.2 呼吸法とボディスキャン
4-7-8呼吸法は特に不安感を即座に和らげるのに効果的です:
- 4秒間かけて鼻から息を吸い込む
- 7秒間息を止める
- 8秒間かけて口から息を吐き出す
ボディスキャンでは、足先から頭頂部まで、身体の各部分に意識を向けていきます。特に緊張している部分を見つけたら、その部分に呼吸を送るイメージをしながら意識的に力を抜きましょう。
8.3.3 イメージ療法の活用
イメージ療法は心身の結びつきを活用した強力なテクニックです。例えば、不妊治療中の方に効果的な「安全な場所」のイメージ法を試してみましょう:
- 静かな場所で目を閉じます
- あなたにとって平和で安全な場所(実在でも想像でも)を思い浮かべます
- その場所の視覚、音、匂い、手触りなど、五感すべてを使って詳細にイメージします
- そこにいることの安心感と平和を十分に感じます
- ストレスを感じた時はいつでも、この「安全な場所」に心の中で戻れることを覚えておきます
これらのテクニックは、定期的な実践が効果を高めます。不妊治療の経過に関わらず、自分自身のメンタルケアの時間を優先することが重要です。心と体は密接につながっており、メンタルの安定が治療全体にポジティブな影響をもたらすことを忘れないでください。
9. 治療の選択肢を広げる考え方
不妊治療は一つの道だけではありません。時に立ち止まり、新しい選択肢を検討することがメンタルの安定につながります。長期間同じ治療を続けて結果が出ない場合、視野を広げて別のアプローチを考えることも大切です。
9.1 治療法の変更を検討するタイミング
同じ治療法を続けても成果が見られない場合、治療法の変更を検討するタイミングが訪れます。一般的に、以下のような状況では治療法の見直しを考えることが推奨されています。
状況 | 検討すべきタイミングの目安 |
---|---|
タイミング法 | 6サイクル以上試みても妊娠に至らない場合 |
人工授精(IUI) | 3〜6回実施しても結果が出ない場合 |
体外受精(IVF) | 3回以上移植しても着床しない場合 |
ただし、これらはあくまで目安であり、年齢や卵巣予備能、精子の状態など個人の状況によって異なります。治療の変更を考えるときは、自分の身体と心の声に耳を傾けることが最も重要です。
治療法の変更を検討する際には、自分自身に以下の質問を投げかけてみましょう:
- 現在の治療に対して精神的・身体的な負担を強く感じているか
- 治療に対するモチベーションが維持できているか
- パートナーとの関係に支障が出始めていないか
- 経済的な負担が生活を圧迫していないか
9.2 ステップダウンの選択肢を考える
高度生殖医療から自然に近い方法へ「ステップダウン」することも、大切な選択肢の一つです。体外受精などの高度な治療を一時中断し、心身のリフレッシュをすることで自然妊娠に至るケースも少なくありません。
ステップダウンを検討する際のポイントは以下の通りです:
- 治療によるストレスがかえって妊娠の妨げになっていないか見直す
- 治療休止期間を設け、自然妊娠を試みる時間を作る
- 低刺激や人工授精など、身体への負担が少ない方法に切り替える
- 生活習慣の改善や漢方などの代替療法を取り入れる
ステップダウンは「諦める」ことではなく、より自分に合った方法を選ぶ前向きな決断です。治療のペースを落とすことで、日常生活の質を高め、結果として妊娠しやすい心身の状態を作れる可能性があります。
9.3 代替療法の可能性を探る
西洋医学的なアプローチと並行して、東洋医学や代替療法を取り入れることで、心身のバランスを整え、妊娠の可能性を高める方法もあります。
9.3.1 不妊治療に効果が期待できる代替療法
- 鍼灸治療:血流改善や自律神経の調整に効果があるとされる
- 漢方療法:体質改善や排卵促進、着床環境の改善に役立つ場合がある
- ヨガ:ストレス軽減と血流改善、ホルモンバランスの調整に寄与
- アロマセラピー:リラックス効果や自律神経のバランス調整に有効
代替療法を検討する際は、信頼できる施術者を選び、現在の治療と矛盾しないよう確認することが重要です。すべての代替療法が科学的に効果が証明されているわけではありませんが、メンタル面でのサポートになる場合も多いでしょう。
9.4 養子縁組や里親制度についての情報収集
家族を形成する方法は生物学的な親子関係だけではありません。養子縁組や里親制度についても情報を収集し、選択肢の一つとして考えることで、視野が広がり心の余裕が生まれることがあります。
9.4.1 養子縁組・里親制度について知っておきたいこと
日本では主に以下のような制度があります:
制度 | 特徴 |
---|---|
特別養子縁組 | 法的に実の親子と同じ関係になる制度。原則6歳未満の子どもが対象 |
普通養子縁組 | 実親との法的関係も残る形での養子縁組。年齢制限なし |
里親制度 | 一定期間、家庭で子どもを養育する制度。将来的な実親との再統合も視野に入れる |
養子縁組や里親制度について情報を得るためには、以下の機関に相談するとよいでしょう:
- 各都道府県の児童相談所
- 民間あっせん団体(特別養子縁組の場合)
- 里親支援機関やフォスタリング機関
- 養親や里親の当事者団体や交流会
家族のかたちは多様であり、血縁だけが家族の絆を作るわけではありません。養子縁組や里親という選択肢について考えることは、「親になる」ということの本質について深く考える機会にもなります。
9.4.2 選択肢を広げるときの心構え
新しい選択肢を考える際には、以下のような心構えが大切です:
- 完全に諦める前に「一時休止」という選択肢も検討する
- パートナーとじっくり話し合い、お互いの気持ちを尊重する
- 「これが最後の挑戦」と区切りをつけて取り組む期間を決める
- 様々な家族のあり方に触れ、自分たちにとっての「家族」を再定義してみる
治療の選択肢を広げて考えることは、心理的な負担を軽減し、より柔軟な発想で将来を描くきっかけになります。どのような道を選んでも、自分たちらしい人生を築いていくという視点を忘れずに、パートナーとともに歩んでいきましょう。
10. まとめ
不妊治療中のメンタルケアは、治療成功への道のりを支える重要な要素です。ストレスを軽減するためには、専門家によるカウンセリングの活用、パートナーとの適切なコミュニケーション、マインドフルネスや運動などの自己ケアが効果的です。また、仕事と治療の両立や趣味の時間を確保することで、生活のバランスを保つことが大切です。周囲のサポートを上手に活用し、必要に応じて治療法の見直しや選択肢の幅を広げる柔軟な姿勢も重要です。どのような選択をするにしても、自分を責めず、夫婦がお互いを尊重しながら前向きに歩んでいくことが、この困難な時期を乗り越える力になるでしょう。
和歌山の不妊治療・妊活専門鍼灸院矢野鍼灸整骨院では不妊治療専門の鍼灸で
・自律神経を整えてお体をストレスに強くする
・お腹の血の巡りを良くする
・子宮や卵巣の働きを整える
などの効果で卵子の質と子宮の環境を整えて4か月で妊娠できる体質に変えていきます。
矢野鍼灸整骨院の鍼灸は、てい鍼という痛みゼロの鍼と、熱さの調節できるお灸で初めての方でも安心して受けていただけます。
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