保険適用から考える不妊治療は何歳まで?費用と年齢の壁を徹底解説

「不妊治療は何歳まで受けられるのか」という疑問への結論は、保険適用は治療開始時に女性が43歳未満、回数は40歳未満で子ども1人につき6回まで、40歳以上43歳未満で3回までという条件があり、43歳以降は自費診療なら年齢制限なく継続できる、というものです。
この記事では、2022年4月から始まった保険適用の詳しい条件や事実婚の扱い、体外受精・顕微授精・凍結胚移植などの費用相場、卵子の老化による年齢別の妊娠率・流産率の変化、高額療養費制度や医療費控除、自治体の助成金といった負担を減らす制度まで解説します。
年齢別のスケジュールの立て方や、転院・第二子の際の回数リセットの有無など、よくある疑問にも答えます。
1. 不妊治療は何歳までできるのか結論から解説

「不妊治療は何歳まで受けられるのか」という疑問には、制度上の答えと医学上の答えの2つがあります。
制度面では保険適用に明確な年齢制限があり、医学面では卵子や精子の加齢による変化が現実的な区切りとなります。
まずは結論を整理しておきましょう。
| 区分 | 年齢の上限 | ポイント |
|---|---|---|
| 保険適用の体外受精・顕微授精 | 治療開始時に女性が43歳未満 | 年齢によって胚移植の回数上限が決まる |
| 保険適用のタイミング法・人工授精 | 年齢制限なし | 回数の上限も設けられていない |
| 自費診療での体外受精・顕微授精 | 制度上の上限なし | 費用は全額自己負担、施設ごとの方針による |
| 男性側の治療 | 年齢制限なし | 男性不妊の検査・治療は年齢を問わず対象 |
1.1 保険適用の年齢制限は治療開始時に43歳未満
体外受精や顕微授精といった生殖補助医療に保険を使う場合、治療計画を立てた時点で女性が43歳未満であることが必須の条件です。
ここで重要なのは「治療が終わるまで43歳未満」ではなく「治療を開始する時点」で判断される点です。
そのため、42歳11か月で1回目の採卵周期に入った場合、その治療周期については保険が適用されます。
ただし、43歳の誕生日を迎えた後に新たな治療計画を立てる場合は、保険の対象外となり自費診療に切り替わります。
年齢のカウントは誕生日を基準に日単位で行われるため、40代前半で治療を検討している人は、初診から治療計画の作成までにかかる時間を逆算して動くことが欠かせません。
一方で、タイミング法や人工授精といった一般不妊治療には年齢による制限がありません。
43歳以降であっても、これらの治療は保険診療として継続できます
。「43歳で不妊治療そのものが終わる」わけではない点は誤解されやすいので注意が必要です。
1.2 自費診療なら年齢制限なく不妊治療を続けられる
保険適用の枠を超えた場合でも、自費診療であれば法律上の年齢制限はなく、体外受精や顕微授精を続けること自体は可能です。
43歳以降に妊娠・出産している人も実際に存在します。
ただし、自費診療には次のような現実があります。
- 採卵から胚移植まで1周期あたり数十万円規模の費用が全額自己負担になる
- 年齢とともに1周期あたりの妊娠率が下がるため、必要な周期数が増えやすい
- 治療を受ける施設ごとに、独自の年齢上限や治療方針が設けられている場合がある
また、保険診療と自費診療を同じ治療周期の中で組み合わせる混合診療は原則として認められていません。
保険で認められていない検査や薬剤を併用したい場合、その周期全体が自費扱いになることがあります。
43歳前後で治療方針を決める際は、この点を踏まえて選択する必要があります。
1.3 体外受精や顕微授精を受けられる年齢の医学的な上限
制度とは別に、体には医学的な区切りがあります。女性が生まれ持つ卵子のもとになる細胞は、加齢とともに数が減り、質も変化していきます。
特に35歳を過ぎると妊娠率の低下と流産率の上昇が同時に進むため、治療の選択肢そのものが狭まっていきます。
閉経の平均年齢はおよそ50歳前後とされますが、その数年から10年ほど前から排卵が不規則になり、採卵しても卵子が得られない周期が増えていきます。
採卵できる卵子があるかどうかが、自分の卵子を使った不妊治療における事実上の上限となります。
実際には、閉経よりかなり早い段階で、採卵しても受精や着床に至る胚が得られなくなるケースが少なくありません。
この個人差を把握する手がかりの一つがAMH(抗ミュラー管ホルモン)検査です。
AMHは卵巣に残っている卵胞のおおよその量を反映する指標で、同じ年齢でも数値には大きな幅があります。
ただしAMHはあくまで卵子の「数」の目安であり、卵子の「質」を示すものではないため、年齢という要素を置き換えることはできません。
男性側については、精子は生涯にわたって作られ続けるため、女性のような明確な区切りはありません。
それでも加齢に伴って精子の運動率やDNAの状態が変化し、受精や妊娠の成立に影響するという報告があります。
夫婦どちらか一方だけでなく、二人の年齢を合わせて考えることが、治療の期限を判断するうえで重要になります。
つまり、「何歳まで」の答えは、保険が使える43歳未満というライン、自費でどこまで続けるかという経済的・心理的なライン、そして採卵が可能かどうかという体のラインの3つが重なる地点にあります。
次章以降では、それぞれのラインを具体的な条件や費用とともに掘り下げていきます。
2. 不妊治療の保険適用の条件を正しく理解する

不妊治療が何歳まで受けられるかを考えるとき、最も現実的な区切りとなるのが公的医療保険のルールです。
保険適用には年齢だけでなく、回数や婚姻状況といった複数の条件が組み合わさっています。
ここを正確に把握しておくことで、限られた期間と回数をどう使うかという計画が立てやすくなります。
2.1 2022年4月から始まった不妊治療の保険適用の概要
それまで自費診療が中心だった体外受精や顕微授精は、2022年4月から公的医療保険の対象に加わりました。
これにより、タイミング法や人工授精といった一般不妊治療に加え、採卵、体外受精、顕微授精、受精卵・胚培養、胚凍結保存、胚移植といった生殖補助医療(ART)の一連の流れが、原則として自己負担3割で受けられるようになっています。
保険診療となったことで治療内容や薬剤の使い方には一定の標準化がなされ、どの医療機関でも同じ費用体系で計算されるようになりました。
一方で、保険で認められた範囲を超える検査や技術を組み合わせたい場合は、先進医療として届出のあるものを除き、原則として治療全体が自費扱いになる点には注意が必要です。
2.2 女性の年齢による回数制限は40歳未満で6回、43歳未満で3回
生殖補助医療の保険適用には、女性の年齢に応じた胚移植の回数上限が設けられています。
基準となるのは、その治療計画を立てた時点、すなわち治療開始日の年齢です。
| 治療開始時の女性の年齢 | 胚移植の回数上限 | 保険適用の可否 |
|---|---|---|
| 40歳未満 | 子ども1人につき通算6回まで | 適用される |
| 40歳以上43歳未満 | 子ども1人につき通算3回まで | 適用される |
| 43歳以上 | — | 生殖補助医療は適用外 |
重要なのは、43歳の誕生日を迎える前に治療計画を作成して治療を開始していれば、その周期については保険が使えるという点です。
逆に、43歳の誕生日を過ぎてから新たに治療を始める場合、生殖補助医療は保険の対象外となります。
また、40歳の誕生日前に開始していれば6回の枠が確保されるため、40歳が近い場合は数か月の差が回数を大きく左右します。
なお、タイミング法や人工授精などの一般不妊治療については、この回数制限や年齢制限は設けられていません。
2.3 男性側に年齢制限はあるのか
保険適用の年齢要件は女性側にのみ設定されており、パートナーである男性の年齢によって保険が使えなくなることはありません。
精索静脈瘤の手術や精巣内精子採取術(TESE)といった男性不妊に対する治療も、年齢による上限なく保険診療の対象となります。
ただし、男性側の加齢によって精子の量や運動率、DNAの状態が変化することは知られており、年齢を重ねるほど妊娠までの期間が長くなる傾向があります。
制度上の制限がないからといって後回しにせず、女性側の検査と並行して精液検査を受けておくことが、限られた保険適用期間を有効に使うことにつながります。
2.4 事実婚でも保険適用の対象になる条件
保険適用の対象は法律上の夫婦に限られません。
婚姻届を出していない事実婚のカップルであっても、以下の条件を満たすことで保険診療を受けられます。
| 確認される項目 | 内容 |
|---|---|
| 重婚でないこと | 両者ともに他の人と法律上の婚姻関係にない |
| 同一世帯であること | 原則として住民票上で同一世帯にある(別世帯の場合は理由の説明が必要) |
| 子の認知の意思 | 治療で生まれた子を認知する意向があること |
| 治療への同意 | двоих揃って治療計画の説明を受け、同意していること |
これらを確認するため、戸籍謄本や住民票などの書類提出を求められるのが一般的です。
また、法律婚・事実婚を問わず、治療計画は必ず二人そろって説明を受けたうえで作成し、その後も定期的に見直すことが保険適用の前提条件となっています。
年に1回程度は改めて二人で計画を確認する機会が設けられるため、仕事の都合なども含めて事前に予定を調整しておくと治療が滞りません。
3. 保険適用となる不妊治療の内容と費用の目安

保険適用によって、これまで全額自己負担だった一般不妊治療と生殖補助医療(ART)の多くが3割負担で受けられるようになりました。
ここでは治療段階ごとに、どの検査・処置が保険の対象となり、実際の窓口負担がどの程度になるのかを整理します。
金額は診療報酬点数を基に算出した目安であり、初診料・再診料・薬剤費・検査費が別途加算される点に注意してください。
3.1 タイミング法や人工授精にかかる費用
一般不妊治療と呼ばれるタイミング法と人工授精は、いずれも保険適用の対象です。
タイミング法は超音波検査で卵胞の発育を確認し、排卵日を予測して性交のタイミングを指導する治療で、1周期あたりの窓口負担は数千円程度に収まることがほとんどです。
排卵誘発剤としてクロミフェンやレトロゾールなどの内服薬、hCG注射を併用する場合も、保険診療の範囲で処方されます。
人工授精(AIH)は、調整した精子を細いカテーテルで子宮内に注入する方法です。
保険点数は1回1,820点と定められており、3割負担であれば人工授精の手技料は1回あたり約5,460円が目安となります。
これに診察料や超音波検査、薬剤費が加わり、実際の支払いは1周期あたり1万円前後になるケースが多く見られます。
人工授精には回数制限が設けられていないため、年齢や卵巣の状態を踏まえながら数周期試すことが可能です。
| 治療内容 | 保険点数の目安 | 3割負担額の目安 |
|---|---|---|
| タイミング法(1周期) | 診察・超音波検査等 | 数千円程度 |
| 人工授精(1回の手技料) | 1,820点 | 約5,460円 |
3.2 体外受精と顕微授精の費用相場と自己負担3割の考え方
体外受精や顕微授精といった生殖補助医療は、「採卵」「受精」「培養」「胚移植」という複数の工程に分かれ、それぞれに保険点数が設定されています。
採卵術は基本点数に加えて採取できた卵子の個数に応じて加算される仕組みで、顕微授精も同様に卵子の個数によって費用が変動します。
培養も同じく、培養する胚の数が増えるほど点数が上がります。
そのため、体外受精の1周期あたりの自己負担は、採卵数や治療内容によっておおむね10万円前後から20万円程度の幅に収まるのが一般的です。
同じ保険診療でも、採卵できた卵子が1個の場合と10個を超える場合とでは費用が大きく変わる点を理解しておきましょう。
| 工程 | 内容 | 費用が変動する要因 |
|---|---|---|
| 調節卵巣刺激 | ゴナドトロピン製剤などによる卵胞発育の促進 | 使用する薬剤の種類と量、刺激法 |
| 採卵術 | 経腟超音波下で卵胞から卵子を採取 | 採取できた卵子の個数 |
| 受精・媒精 | 体外受精(ふりかけ法)または顕微授精 | 顕微授精は卵子の個数で加算 |
| 胚培養 | 受精卵を数日間培養し胚盤胞まで育てる | 培養する胚の個数、胚盤胞まで育てるか |
| 胚移植 | 新鮮胚移植または凍結融解胚移植 | 移植方法の違い |
なお、保険診療で生殖補助医療を受ける場合は、治療計画を作成し、事実婚も含めたパートナーと一緒に説明を受けたうえで同意することが求められます。
この治療計画の作成にも管理料が設定されており、原則として6か月ごとの見直しが必要です。
3.3 凍結胚移植や胚凍結保存にかかる費用
採卵した周期にそのまま移植せず、いったん胚を凍結して別の周期に移植する凍結融解胚移植は、現在の生殖補助医療の主流となっています。
胚を凍結保存する処置には胚凍結保存管理料が設定されており、凍結する胚の個数が多いほど点数が上がる一方、一定個数を超えると上限が設けられています。
凍結した胚は、翌年以降も保存を続ける場合に維持管理料が発生します。
これまでは「最長3年間(3回まで)」しか保険で更新できませんでしたが、2024年6月以降は3年を超えても上限なく保険適用での更新が可能になりました。
過去に凍結した胚もすべて対象となります。
凍結胚を融解して子宮内に戻す胚移植術についても保険点数が定められており、新鮮胚移植と凍結融解胚移植では点数が異なります。
移植前には子宮内膜を厚くするためのホルモン補充が行われ、貼付剤や腟坐剤などの薬剤費が別途かかります。
3.4 先進医療や自費診療で追加される費用
保険診療と併用できる先進医療として、タイムラプス撮像法による受精卵観察、子宮内膜受容能検査(ERA)、子宮内フローラ検査、ヒアルロン酸を用いた生理学的精子選択術(PICSI)、二段階胚移植法などが認められています。
これらは先進医療部分のみ全額自己負担となり、保険診療部分と併せて受けても保険が無効になることはありません。費用は検査や技術によって数万円から十数万円程度と幅があります。
一方で、保険適用の回数制限を超えた治療、43歳以上での治療、保険と併用が認められていない検査や薬剤を用いる治療は、原則として治療全体が自費診療となります。
この場合、混合診療は認められないため、本来なら保険が使える採卵や培養の費用も含めて全額自己負担となる点は、費用計画を立てるうえで最も注意すべきポイントです。
また、着床前遺伝学的検査(PGT-A)は現時点で保険適用外であり、これを実施すると周期全体が自費になるのが一般的です。
年齢が上がるほど検討したくなる検査ですが、費用負担が一気に増えるため、保険適用の回数を使い切る順序をあらかじめ考えておくことが大切です。
4. 年齢が不妊治療の結果に与える影響

不妊治療に年齢の区切りが設けられているのは、単なる制度上の都合ではなく、加齢とともに妊娠しにくくなるという医学的な事実が背景にあります。
「何歳まで治療を続けられるか」を考えるうえで、年齢が妊娠率や流産率にどう関わるのかを知っておくことは、治療計画を立てる出発点になります。
4.1 卵子の老化と加齢による妊娠率の低下
女性の卵子のもとになる細胞は、生まれた時点で数が決まっており、その後に新しく作られることはありません。
年齢を重ねるにつれて数は減り続け、同時に卵子そのものの質も低下していきます。
これがいわゆる「卵子の老化」と呼ばれる現象です。
卵子の質が下がると、受精しても正常に細胞分裂が進まなかったり、子宮内膜に着床できなかったりする確率が高まります。
不妊治療でどれだけ高度な技術を使っても、卵子そのものの質を若返らせることはできないという点が、年齢の壁の本質です。
一般に妊娠しやすさは20代後半をピークに30代前半から緩やかに下がり始め、35歳を境に低下のカーブが急になり、40歳以降はさらに顕著になると考えられています。
一方で男性側も加齢によって精子の運動率やDNAの損傷率に変化が生じるため、年齢の影響は女性だけの問題ではありません。
4.2 年齢別に見る体外受精の妊娠率と流産率
体外受精や顕微授精は、自然妊娠が難しいケースでも妊娠の可能性を高める治療ですが、成績は年齢に強く左右されます。
おおまかな傾向は次のように整理できます。
| 年齢層 | 胚移植あたりの妊娠のしやすさ | 流産の起こりやすさ | 治療計画上のポイント |
|---|---|---|---|
| 〜34歳 | 比較的高く安定している | 低め | 採卵1回で複数の胚を確保しやすい |
| 35〜39歳 | 徐々に低下する | やや上昇 | ステップアップの判断を早める時期 |
| 40〜42歳 | 明確に低下する | 大きく上昇 | 保険の回数上限3回を逆算して使う |
| 43歳〜 | さらに低下する | 高い | 自費での継続可否を含めて総合判断 |
注意したいのは、妊娠率が下がるだけでなく、妊娠しても流産に至る割合が同時に上がるため、出産までたどり着ける確率は妊娠率よりもさらに低くなるという点です。
40代では妊娠判定が陽性になっても、その後の経過で継続できないケースが少なくありません。
治療の成果を測る際は、妊娠率ではなく「生児獲得率」で捉える視点が役立ちます。
4.3 40代の不妊治療で知っておきたい染色体異常のリスク
加齢に伴う流産の増加は、多くが胚の染色体異常によるものです。
卵子が減数分裂する過程で染色体の分配がうまくいかず、本来2本であるべき染色体が3本になったり1本になったりすることで、胚が育たなくなります。
この確率は年齢とともに上昇し、40代では採卵で得られた胚の大半が染色体異常を持つこともあります。
移植しても着床しない、あるいは着床後に流産するという結果が続く場合、その原因が胚側にあることは珍しくありません。
移植がうまくいかないのは体質や努力不足のせいではなく、多くは胚の染色体の問題によるものと理解しておくと、精神的な負担を軽くできます。
なお、移植前に胚の染色体数を調べる着床前胚染色体異数性検査(PGT-A)は、日本では実施できる施設や適応条件が定められており、保険診療とは併用の扱いに制限があります。
受けられるかどうかは治療を受ける施設の方針や自身の治療歴によって異なります。
4.3.1 年齢と流産リスクの関係を整理する
| 項目 | 加齢による変化 |
|---|---|
| 採卵で得られる卵子の数 | 減少する |
| 受精後に胚盤胞まで育つ割合 | 低下する |
| 染色体が正常な胚の割合 | 低下する |
| 流産率 | 上昇する |
| 1回の採卵から出産に至る確率 | 低下する |
4.4 AMH検査でわかる卵巣予備能と治療計画
AMH(抗ミュラー管ホルモン)は、発育過程にある卵胞から分泌されるホルモンで、血液検査によって測定できます。
数値は残っている卵子のおおよその在庫量、いわゆる卵巣予備能の目安となり、月経周期に左右されにくいため、いつでも測りやすいという利点があります。
ただし、AMHはあくまで卵子の「数」の指標であり、卵子の質や妊娠できる確率そのものを示すものではありません。
AMHが高くても年齢が高ければ質の問題は残りますし、逆にAMHが低くても妊娠に至る人はいます。
AMHが治療計画に役立つのは、次のような場面です。
- 排卵誘発の方法や薬の量を決める判断材料になる
- 1回の採卵で得られる卵子の数をあらかじめ想定できる
- タイミング法や人工授精を続けるか、体外受精へ進むかの判断を早められる
- 残された時間を見積もり、保険適用の回数をどう配分するか考えられる
年齢の割にAMHが低い場合は、想定より早く選択肢が狭まる可能性があります。
「まだ大丈夫」と考えて様子を見るのではなく、数値と年齢の両方を踏まえて、いつまでにどの治療をどれだけ行うかを組み立てることが、限られた期間を有効に使うことにつながります。
5. 43歳を過ぎてからの不妊治療という選択肢

保険適用の対象となるのは治療開始時点で43歳未満の場合に限られるため、43歳の誕生日を迎えた後は、治療そのものが受けられなくなるわけではないものの、費用はすべて自己負担となります。
ここでは、43歳以降に治療を続けるという判断をした場合に知っておきたい費用感や選択肢、そして治療の区切りの考え方について整理します。
5.1 自費で体外受精を続ける場合の費用シミュレーション
自費診療では医療機関が費用を自由に設定できるため、同じ体外受精でも金額に幅があります。
一般的には、採卵から胚移植までを1周期行った場合、40万円から70万円程度が目安となり、顕微授精や胚の凍結保存、追加の培養技術を組み合わせるとさらに上乗せされます。
保険診療であれば3割負担で済んでいた費用が、そのまま全額の負担になると考えるとイメージしやすいでしょう。
| 治療内容 | 自費の費用目安(1回あたり) |
|---|---|
| タイミング法 | 5千円〜1万円程度 |
| 人工授精 | 2万円〜3万円程度 |
| 体外受精(採卵〜移植) | 40万円〜70万円程度 |
| 顕微授精を追加した場合 | 上記に5万円〜10万円程度加算 |
| 凍結胚移植 | 10万円〜20万円程度 |
| 胚の凍結保存(年間) | 3万円〜10万円程度 |
仮に1周期50万円として3回挑戦すれば150万円、6回では300万円規模になります。
43歳以降は1回の採卵で得られる卵子の数が少なくなり、移植に至らず採卵のみで終わる周期も生じやすくなるため、「何回挑戦するか」ではなく「総額でいくらまで治療に充てるか」という上限を先に決めておくことが、家計と気持ちの両方を守るうえで有効です。
なお、自費診療であっても医療費控除の対象にはなります。
1年間に支払った医療費が一定額を超えれば、確定申告によって所得税や住民税の負担が軽くなるため、領収書は必ず保管しておきましょう。
5.2 提供卵子や海外での治療という選択肢
加齢による卵子の質の低下が妊娠の主な障壁となっている場合、第三者から提供された卵子を用いる方法が検討されることがあります。
日本国内でも一定の要件のもとで卵子提供が行われていますが、対象となる条件や実施できる施設は限られており、誰もがすぐに選べる方法ではありません。
また、費用や制度の違いから海外での治療を検討する人もいます。
ただし、渡航費や滞在費を含めると総額は数百万円規模になることが多く、複数回の渡航が必要になる場合もあります。
加えて、生まれてくる子の出自を知る権利や親子関係の法的な扱いなど、医療以外の課題が伴う点も見逃せません。
提供卵子や海外での治療を考える場合は、費用だけでなく法的・倫理的な側面まで含めてパートナーと十分に話し合う時間が不可欠です。
そのほか、若いうちに卵子や受精卵を凍結保存していた場合には、それを用いた移植という選択肢もあります。
凍結時点の年齢が妊娠率に大きく影響するため、将来的な妊娠を視野に入れている人にとっては早い段階での検討材料になります。
5.3 治療をやめるタイミングの決め方
不妊治療には明確なゴールがないため、「いつやめるか」は当事者が自分たちで決めなければならない難しい問題です。
判断が先送りになりやすいからこそ、あらかじめ区切りの基準を言葉にしておくことが助けになります。
区切りを考えるときの視点としては、次のようなものが挙げられます。
| 視点 | 決めておきたいこと |
|---|---|
| 年齢 | 「45歳の誕生日まで」など期限を数字で設定する |
| 回数 | 採卵や胚移植の回数の上限をあらかじめ決める |
| 費用 | 治療に充てる総額の上限と、貯蓄をどこまで使うか |
| 心身の状態 | 採卵や通院による負担、仕事との両立が続けられるか |
| 検査結果 | AMHの値や採卵結果の推移をどう受け止めるか |
実際には、決めた基準に達したときに「もう1回だけ」と気持ちが揺れることも珍しくありません。
そのため、治療を始める前や周期の合間など、精神的に落ち着いているタイミングで夫婦の考えをすり合わせておくことが大切です。
また、治療の終了は妊娠をあきらめることと同じではありません。
特別養子縁組や里親制度を通じて子どもを迎える道、二人の生活を大切にしていく道など、選べる未来は一つではないという視点を持っておくと、区切りをつけた後の時間を前向きに考えやすくなります。
治療を続ける選択も、やめる選択も、どちらも本人たちが納得して選んだものであれば、正解と言えるでしょう。
6. 費用負担を軽くするために使える制度

不妊治療は保険適用によって自己負担が3割になったとはいえ、体外受精や顕微授精を繰り返すとまとまった出費になります。
さらに保険が使えない年齢や回数を超えた場合、自費診療で1回数十万円がかかることも珍しくありません。
しかし、公的な制度や職場の支援をうまく組み合わせれば、実質的な負担を大きく下げられます。
知っているかどうかだけで数十万円単位の差が生まれるため、治療を始める前に使える制度を一通り確認しておくことが重要です。
6.1 高額療養費制度の活用方法
高額療養費制度は、同じ月(月初から月末まで)にかかった保険診療の自己負担額が一定の上限を超えたとき、超過分が払い戻される仕組みです。保険適用となった体外受精や顕微授精は、この制度の対象になります。
上限額は年齢と所得によって決まり、69歳以下の場合は次のように区分されます。
| 所得区分(年収の目安) | 1か月の自己負担上限額 |
|---|---|
| 約1,160万円超 | 252,600円+(総医療費-842,000円)×1% |
| 約770万~約1,160万円 | 167,400円+(総医療費-558,000円)×1% |
| 約370万~約770万円 | 80,100円+(総医療費-267,000円)×1% |
| 約370万円以下 | 57,600円 |
| 住民税非課税世帯 | 35,400円 |
採卵から胚移植までを保険で行うと、1か月の自己負担が10万円を超えることもあります。
年収約370万~770万円の区分であれば、上限を超えた分は申請によって戻ってきます。
あとから払い戻しを受ける方法のほか、事前に「限度額適用認定証」を取得しておく、あるいはマイナ保険証を利用して窓口で情報提供に同意すれば、支払いの時点で上限額までの負担で済みます。
採卵と移植をできるだけ同じ月にまとめると、高額療養費制度の恩恵を受けやすくなります。
なお、先進医療や自費診療の費用、文書料、差額ベッド代などは高額療養費の対象外です。
また、直近12か月に3回以上上限額に達した場合は、4回目から「多数回該当」となり上限額がさらに下がります。
6.2 医療費控除で戻ってくる金額の目安
医療費控除は、1年間(1月1日~12月31日)に支払った医療費が原則10万円(総所得金額等が200万円未満の場合はその5%)を超えたとき、確定申告によって所得税と住民税が軽減される制度です。
不妊治療は保険診療も自費診療も、原則として医療費控除の対象になります。
人工授精や体外受精、顕微授精、胚凍結保存の費用に加え、治療に通うための公共交通機関の交通費、処方された薬代も対象に含められます。
控除額は「支払った医療費の合計-保険金などで補填される金額-10万円」で計算し、上限は200万円です。実際に戻る金額は控除額に所得税率を掛けたもので、住民税も翌年度分が軽くなります。
| 年間の医療費(自己負担分) | 控除額 | 所得税率10%の場合の還付目安 |
|---|---|---|
| 30万円 | 20万円 | 約2万円 |
| 60万円 | 50万円 | 約5万円 |
| 100万円 | 90万円 | 約9万円 |
ポイントは、夫婦や同一生計の家族の医療費を合算できることです。
所得税率は所得が高いほど高くなるため、収入が多い側がまとめて申告したほうが還付額は大きくなります。
高額療養費や自治体の助成金を受け取った分は差し引く必要がありますが、領収書は5年間保管し、医療費通知や明細書を活用して申告しましょう。
申告を忘れていても、5年前までさかのぼって手続きが可能です。
6.3 自治体独自の不妊治療助成金や先進医療助成
保険適用が始まったあとも、多くの自治体が独自の上乗せ支援を続けています。
内容は住んでいる地域によって大きく異なりますが、代表的なものは次のとおりです。
| 助成の種類 | 主な内容 |
|---|---|
| 先進医療費の助成 | 保険診療と併用した先進医療(着床前検査以外のタイムラプス撮像法など)の費用の一部を補助 |
| 保険適用外治療への助成 | 回数上限を超えた場合や年齢を超えた場合の治療費を独自に補助する自治体もある |
| 不妊検査・一般不妊治療助成 | 夫婦そろって受ける不妊検査やタイミング法・人工授精の費用を補助 |
| 男性不妊治療への助成 | 精巣内精子採取術など、男性側の手術費用を補助 |
| 卵子凍結への助成 | 将来の妊娠に備えた卵子凍結の費用を補助する自治体が登場 |
助成には年齢要件(多くは治療開始時に妻が43歳未満)、所得要件、申請期限、住民票の要件などが設けられています。
申請期限は治療終了日から数か月以内と短いことが多いため、治療を始める段階で自治体の窓口や公式サイトで最新の要件を確認しておくことが欠かせません。
助成金は課税されない一方で、医療費控除の計算では補填される金額として差し引く必要がある点にも注意しましょう。
6.4 勤務先の福利厚生や不妊治療休暇制度
不妊治療は通院の回数が多く、排卵や採卵のタイミングに合わせて急に休みが必要になることもあります。
金銭的な支援と同時に、働きながら治療を続けるための時間の確保も大きな課題です。
近年は企業側の支援制度が広がっており、次のような仕組みが利用できる場合があります。
| 支援の種類 | 内容の例 |
|---|---|
| 不妊治療休暇・特別休暇 | 年間数日~十数日、通院のために取得できる休暇。有給か無給かは企業により異なる |
| 時間単位の年次有給休暇 | 1時間単位で取得でき、午前だけ通院するといった使い方ができる |
| フレックスタイム・時差出勤 | 診察時間に合わせて始業・終業を調整できる |
| 在宅勤務・テレワーク | 通院日の前後の負担を減らし、体調に合わせて働ける |
| 治療費の補助・貸付 | 健康保険組合や共済組合、企業独自の見舞金・補助金や無利子貸付 |
厚生労働省は不妊治療と仕事の両立を支援するため、企業が使える「不妊治療連絡カード」を用意しています。
これは治療の必要性や通院の見込みを職場に伝えるための書式で、事情を細かく説明しなくても配慮を求めやすくなります。
また、両立支援に取り組む企業を認定する制度もあり、就業規則や社内ポータルに制度が明記されていることも少なくありません。
制度があっても申し出がなければ使えないため、まずは就業規則や健康保険組合の給付一覧を確認し、産業保健スタッフや人事担当に相談することが負担軽減の第一歩になります。
これらの制度は併用が可能です。
高額療養費で月ごとの支払いを抑え、残った自己負担を自治体の助成でカバーし、最終的に1年分をまとめて医療費控除で申告するという流れをつくれば、実際の持ち出しは想像より小さくなります。
年齢の制限がある制度も多いので、治療のスケジュールを立てる段階で費用面の設計も同時に進めておきましょう。
7. 年齢別に考える不妊治療のスケジュールと進め方
不妊治療は「いつ始めるか」で選べる選択肢の幅が大きく変わります。
保険適用の回数制限は治療開始時の年齢で決まるため、年齢ごとに逆算したスケジュールを立てておくことが、後悔しない妊活につながります。
ここでは年代別に、意識したい進め方を整理します。
| 年代 | 目安となる受診タイミング | 進め方の考え方 |
|---|---|---|
| 20代〜34歳 | 避妊せず1年妊娠しない場合 | 基本検査を受けたうえでタイミング法から段階的に |
| 35〜39歳 | 半年程度で妊娠しない場合 | タイミング法・人工授精の期間を区切り早めにステップアップ |
| 40〜42歳 | 妊娠を希望した時点ですぐ | 保険適用3回を逆算し、早期から体外受精を検討 |
| 43歳以降 | 希望した時点ですぐ | 自費診療となるため費用と期間の上限を先に決める |
7.1 20代から30代前半で意識したい妊活のステップ
20代から30代前半は卵子の質が比較的保たれており、自然妊娠を目指せる期間に余裕がある年代です。
とはいえ、排卵障害や卵管の通過障害、子宮内膜症、男性側の精液所見の問題など、年齢と関係のない不妊原因は少なくありません。
避妊せずに1年以上妊娠しない場合は、年齢にかかわらず一度検査を受けることが妊活の第一歩です。
この年代の基本的な流れは、月経周期の把握と基礎体温の記録から始まり、ホルモン検査、超音波による卵胞チェック、卵管の通り具合を調べる検査、精液検査といった一通りの検査を経て、タイミング法へ進むという段階的なものです。
原因が特定されなければ、タイミング法を数周期試したうえで人工授精へ、それでも結果が出なければ体外受精へと段階を上げていきます。
7.1.1 検査結果に応じて段階を飛ばす判断も必要
若い年代でも、卵管が両側とも閉塞している場合や、精子の数・運動率が著しく低い場合は、タイミング法を重ねても妊娠の可能性は高まりません。
検査で明確な原因が見つかったときは、年齢に関係なく体外受精や顕微授精を早期に選ぶ判断が結果につながります。
7.2 35歳を過ぎたら早めにステップアップする理由
35歳を境に、卵子の質の低下と卵巣予備能の減少が加速します。
同じ治療を同じ回数受けても、30代前半と30代後半では1回あたりの妊娠率に差が出るため、35歳以降は「同じ治療を漫然と続ける期間」をできるだけ短くすることが最大の戦略になります。
具体的には、タイミング法は3〜6周期、人工授精は3〜6回を一つの区切りとし、結果が出なければ体外受精へ移行するという計画をあらかじめ立てておく方法が現実的です。
人工授精を10回以上続けても累積妊娠率はほとんど伸びないとされており、時間を消費するリスクの方が大きくなります。
また、体外受精には保険適用で40歳未満なら1子につき6回という枠があります。
39歳のうちに1回目の胚移植を開始できれば6回の枠が確保され、40歳到達後は3回に減ります。
この差は治療の選択肢に直結するため、38歳〜39歳で治療を検討している場合は、開始時期そのものが重要な判断材料になります。
7.2.1 採卵と移植を分けて考える
体外受精は、卵子を採る「採卵」と、受精卵を子宮に戻す「胚移植」に分かれます。
年齢が上がるほど1回の採卵で得られる胚の数は減るため、質のよい胚を確保できる時期にまとめて採卵し、凍結胚として保存しておく進め方も選ばれています。
仕事や体調の都合で移植のタイミングをずらしたい場合にも有効です。
7.3 40歳以降は保険適用の回数を逆算して計画する
40歳以降は、保険適用の胚移植が1子につき3回までとなり、43歳の誕生日を迎える前に治療を開始していなければ保険は使えません。
つまり40代の不妊治療は「残された回数と残された時間」の両方から逆算してスケジュールを組む必要があります。
採卵から胚移植までは、卵巣刺激・採卵・受精確認・胚培養という工程を経るため、1周期では完結しないことも珍しくありません。
凍結胚移植を行う場合は、子宮内膜を整える周期がさらに必要になります。
1回の採卵から移植までに2〜3か月、うまくいかず次の周期に進む場合はさらに数か月というペースを想定しておくと計画が立てやすくなります。
| 開始年齢 | 保険適用の胚移植回数 | 計画上のポイント |
|---|---|---|
| 40歳 | 3回 | 採卵と移植の周期を含め2年程度の見通しを立てる |
| 41〜42歳 | 3回 | 検査期間を短縮し早期に体外受精へ進む |
| 42歳後半 | 3回(開始が誕生日前提) | 43歳到達前に1回目の治療開始が必須 |
この年代では、検査に数か月をかけてからタイミング法や人工授精を試すという流れでは、保険適用の期間を使い切ってしまう可能性があります。基本検査とAMH検査の結果を踏まえ、必要に応じて最初から体外受精を選ぶ判断も現実的な選択です。
7.3.1 パートナーと共有しておきたい3つの前提
治療を続けるうえでは、開始前にパートナーと次の点を話し合っておくと、途中で判断に迷いにくくなります。
- 保険適用の回数を使い切った後、自費で継続するかどうか
- 治療に充てられる費用の上限と、貯蓄からの取り崩し額
- 仕事との両立方法や、通院日の調整をどう分担するか
特に40代は、1回ごとの結果に一喜一憂しやすく、精神的な負担も大きくなります。
治療を始める前に「どこまで」を決めておくことが、治療期間そのものを納得できるものにします。
男性側の精液検査も同じ時期に済ませておけば、原因の把握が早まり、無駄な周期を減らすことにつながります。
8. 不妊治療は何歳までかで悩む人からよくある質問

年齢と保険適用のルールは細かい条件が多く、実際に治療を検討する場面で迷いやすいポイントが集中します。
ここでは特に相談が多い疑問について、判断の基準となる考え方を整理します。
8.1 43歳の誕生日直前に治療を始めても保険は使えるのか
保険適用の年齢判定は、体外受精や顕微授精といった生殖補助医療の「治療開始時点」で女性が43歳未満であるかどうかで行われます。
治療開始とは、その周期の計画を立てて治療を始める段階を指すため、43歳の誕生日前に開始していれば、その周期は保険診療として進められます。
ただし注意したいのは、開始した治療周期が終わったあとに新たな採卵周期へ進む場合です。
その時点で43歳に達していれば、以降は保険適用の対象外となります。
誕生日が近い場合は、採卵から胚移植までのスケジュールを逆算し、あらかじめ余裕を持った計画を立てることが大切です。
| 治療開始時の年齢 | 保険適用の可否 | 胚移植の回数上限 |
|---|---|---|
| 40歳未満 | 適用される | 子ども1人につき6回まで |
| 40歳以上43歳未満 | 適用される | 子ども1人につき3回まで |
| 43歳以上 | 適用されない | 自費診療のため制限なし |
8.2 転院しても保険適用の回数はリセットされるのか
転院を理由に回数がリセットされることはありません。
保険適用の回数は本人ごとに通算で管理されるため、施設を変えてもそれまでに使った胚移植の回数は引き継がれます。
転院先では、これまでの治療歴を確認する書類の提出を求められるのが一般的です。
治療方針が合わないと感じたときや、通院の負担を減らしたいときに転院を検討するのは自然な選択ですが、残り回数を把握したうえで動くことが重要です。
採卵の回数には上限が設けられていない一方、胚移植の回数が上限に達すると保険での治療は終了となるため、手元の記録を整理してから相談に臨むとスムーズです。
8.3 第二子の不妊治療でも回数はリセットされるのか
保険適用の回数は「子ども1人につき」という考え方で数えます。
そのため、治療によって出産に至った場合、次の子どもを希望する治療では回数が新たに数え直されます。
第一子で6回すべてを使い切っていても、出産後に改めて治療を始めるときは再び回数が付与されます。
ただしリセットされるのは回数だけで、年齢の条件は変わりません。
第二子の治療を開始する時点で43歳を迎えていれば保険は使えないため、出産後の授乳期間や体調の回復期間も見込んだうえで、次の治療時期を早めに検討しておく必要があります。
なお、流産や死産となった場合の取り扱いは個別の判断が必要になるため、事前に確認しておくと安心です。
8.4 男性不妊の治療に年齢制限はあるのか
男性側の年齢によって保険適用が制限されることはありません。
精索静脈瘤の手術や無精子症に対する精子回収術など、男性不妊に対する治療も保険の対象に含まれますが、年齢制限や回数制限が設けられているのは女性側のみという点が大きな違いです。
とはいえ、男性も加齢によって精子の運動率やDNAの損傷率が変化することが知られています。
年齢制限がないからといって後回しにせず、パートナーと同じタイミングで精液検査を受けることが、治療期間を短縮するうえで有効です。
原因の半分近くは男性側にあるとされており、早期の検査は選ぶべき治療法の判断材料になります。
8.5 保険適用の回数を使い切ったあとはどうなるのか
回数の上限に達した場合、その後の生殖補助医療はすべて自費診療となります。
43歳未満であっても回数を使い切れば保険は使えなくなるため、年齢の壁と回数の壁は別々に管理して考える必要があります。
自費に切り替わる前に、凍結してある胚が残っているかどうかを確認しておくと、移植の計画が立てやすくなります。
また、保険診療と自費診療を同じ周期で混在させることは原則としてできません。
先進医療として認められた技術は保険診療と併用できますが、それ以外の自費の検査や治療を加えると、その周期全体が自費扱いとなります。
費用に大きな差が出るため、周期ごとにどの枠組みで進めるかを事前にすり合わせておくことが欠かせません。
8.6 年齢制限を過ぎてから助成金は使えるのか
国の助成制度は保険適用への移行にともなって役割を終えていますが、自治体によっては独自に上乗せの支援を続けている場合があります。
対象年齢や所得の条件、申請できる回数は地域ごとに異なり、保険適用の対象外となる年齢や治療内容を支援対象に含めている自治体もあります。
申請には治療終了後の一定期間内という期限が設けられていることが多く、領収書や証明書類の保管が前提となります。
住んでいる地域の窓口で最新の要項を確認し、治療を始める前に対象になるかどうかを調べておくと、費用計画の見通しが立てやすくなります。
9. まとめ
不妊治療そのものに法的な年齢制限はなく、自費診療であれば何歳でも継続できます。
一方で保険適用には明確な線引きがあり、体外受精や顕微授精などの生殖補助医療は「治療開始時に女性が43歳未満」であることが条件です。
回数制限も、治療開始時40歳未満なら子ども1人につき6回まで、40歳以上43歳未満なら3回までと定められています。
年齢が上がるほど卵子の質は低下し、妊娠率は下がり流産率は上昇します。
だからこそ「何歳まで可能か」より「いつ始めるか」が重要です。
35歳を過ぎたら早めに検査と治療のステップアップを検討し、40歳以降は保険適用の回数から逆算した計画を立てましょう。
高額療養費制度や医療費控除、自治体の助成金も併用し、パートナーと納得できる着地点を話し合っておくことが大切です。
和歌山の不妊治療・妊活専門鍼灸院矢野鍼灸整骨院では不妊治療専門の鍼灸で
・自律神経を整えてお体をストレスに強くする
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矢野鍼灸整骨院の鍼灸は、てい鍼という痛みゼロの鍼と、熱さの調節できるお灸で初めての方でも安心して受けていただけます。
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【この記事を書いた人】
矢野泰宏(やの やすひろ)
鍼灸師/不妊鍼灸専門家
和歌山・矢野鍼灸整骨院院長
妊活に悩む女性のための鍼灸を10年以上提供。病院と併用しながら、東洋医学的アプローチで妊娠を目指すサポートを行っています。
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参考サイト
三軒茶屋ウィメンズクリニック 不妊治療は何歳まで続けるべき?年齢による影響をわかりやすく解説
不妊治療のステップアップはいつすればいい?ステップアップの目安を徹底解説
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