ビタミンDは体外受精の着床率を上げる？　矢野鍼灸整骨院｜和歌山県和歌山市 不妊鍼灸専門の矢野鍼灸整骨院

ビタミンDは体外受精の着床率を上げる？　矢野鍼灸整骨院

ビタミンDは骨を合成するために欠かせないビタミンです。

ビタミンDを多く含むキノコ類などを食べると摂取できますが、日光を浴びると体内で生成することもできます。

近年、適量のビタミンDは体外受精の着床率や妊娠率を上げることが示唆されています。

ビタミンDはなぜこのような作用があるのでしょうか？

英国の研究による、ビタミンDと妊娠率の関係

ビタミンDが不足すると骨が弱くなり、骨が歪むくる病などを起こすことが知られています。

しかしビタミンD不足の悪影響はそれだけに留まりません。妊娠にも影響する可能性があります。

英国で2019年に、体外受精・顕微授精の移植を受けた女性500名のビタミンD血中濃度を調べ、3グループに分けて調査しました。
出典：Justin Chu Reprod Health.2019; 16: 105.

URL：https://reproductive–health–journal-biomedcentral-com.translate.goog/articles/10.1186/s12978-019-0769-7?_x_tr_sl=en&_x_tr_tl=ja&_x_tr_hl=ja&_x_tr_pto=sc

ビタミンD濃度が多い順に「充足群」「不足群」「欠乏群」に分け、着床率、妊娠率、出生率を調査しました。

・充足群の着床率／妊娠率／出生率　48.1％／41.6％／37.7％

・不足群の着床率／妊娠率／出生率　39.0％／31.9％／27.0％

・欠乏群の着床率／妊娠率／出生率　32.5％／26.0％／23.2％

ビタミンDが欠乏しているグループは、足りているグループに比べて着床率が0.67倍という結果になりました。

不足群は欠乏群に比べると若干良い数値ですが、足りているグループには及びません。

そのためビタミンDが妊娠成立、継続を支える要素の一つであると考えられています。

ただ、日本の環境はイギリスに比べてビタミンDが不足しにくいので「ビタミンD不足の妊活トラブルが、イギリスに比べて少ない可能性」はあります。

ビタミンDは日光を浴びても生成されます。

晴れの日が多い日本の環境で、これだけ深刻なビタミンD欠乏の状態になるかは不明です。

イギリスの日照時間も考慮する必要はあるでしょう。

首都ロンドンの年間日照時間は1,500時間ほどで、東京の1,900時間より少な目です。

晴れの日が多い和歌山市の年間日照時間は2,260時間（令和4年観測）。

夜勤が続く、ひどい不摂生な生活をしない限りビタミンD欠乏群になるリスクは、イギリスに比べて低いと言えるでしょう。

日照時間が長いと、短時間外出するだけでもビタミンDがたくさん生成されるため、食事からの摂取が足りなくても穴埋めできる可能性があります。

ビタミンDと妊娠の関係

ビタミンDがなぜ着床率上昇に効果があるのか、はっきり分かっていません。

しかし子宮内膜にビタミンDの受容体が見つかっています。

ビタミンDが子宮内膜に何らかの良い働きかけをしているのが示唆されています。

統計を取ると、ビタミンDが不足すればするほど着床率、妊娠率の低下する傾向があります。

特に、欠乏ラインの20μg/ml未満になると、着床率、妊娠率とも有意的に下がります。

さらにビタミンDが欠乏するとPCOS（多嚢胞性卵巣症候群）など排卵障害因子、子宮筋腫、子宮内膜症のリスクが上がることが知られています。

これらの病気の原因は多く、必ずしもビタミンD欠乏症が原因とは限りません。

しかし原因の一つなのは間違いないので、ビタミンDが欠乏しないように対策する必要があります。

男性もビタミンD不足は、精液所見が悪くなることが知られています。

ぜひカップルでビタミンD対策を行いましょう。

妊娠中にも大切なビタミンD。食事やサプリメントで補充も有効

ビタミンDは骨の形成だけでなく、免疫などにも深いかかわりがあります。

妊娠中にビタミンDが欠乏すると、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病リスクが上がり、早産など赤ちゃんにとって良くない影響があるという報告があります。

妊娠中はビタミンDが消費されやすいせいか、妊娠後期になると欠乏しやすい傾向があります。

特に、出産予定日が冬の場合は悪化しやすいそうです。

ビタミンDの生成量は日照時間や紫外線の強さで、大きく変わります。

特に冬は紫外線が弱く、日光に当たってもビタミンD生成が大きく減ってしまいます。

冬以外の時期でもUVカットに夢中になって、徹底的に日光を避けるのもビタミンD不足を誘発します。

紫外線を浴びすぎると日焼けやシミの原因になるので、避けたい気持ちは分かりますが、完全に避けるのは妊活にも良くありません。

血液検査で「欠乏」と言えるほどビタミンDが不足している場合は、サプリメントでの摂取も効果的です。

ただしサプリメントの摂取は、容量は必ず守りましょう。

ビタミンDは脂溶性ビタミン（脂に溶けるビタミン）で、一度体内に入ると消費されるまで消えません。

そのため体内に蓄積しやすい傾向があります。

ビタミンDが足りないのは問題ですが、過剰摂取も問題です。

過剰なビタミンDは高カルシウム血症を引き起こします。

腎臓に結石ができる、血管や組織が石灰化して心臓、腎臓に障害を起こす引き金になりかねません。

成人のビタミンD摂取目安量は8.5μgほど。

鮭の切り身を1つ食べるだけで十分足りる量です。

しかしこれでは妊活には足りないという説があり、1日摂取上限の100μgに近い量を勧める病院もあります。

副作用を避けるためにも、定期的に血液検査でビタミンDの血中濃度を測りながら、適切な摂取量を調整する必要があるでしょう。

次回は、ビタミンDの効率的な摂取法についてご紹介します。

（参考サイト）
大塚製薬　ビタミンDが妊娠率アップ＆流産率ダウンに関連あり
https://www.otsuka.co.jp/college/laboratory/05.html

ロンドンビジネススクール　ロンドンにまつわる二つの誤解（天気と食事）
https://www.lbsjapan.com/%E3%83%AD%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%B3%E3%81%AB%E3%81%BE%E3%81%A4%E3%82%8F%E3%82%8B%E4%BA%8C%E3%81%A4%E3%81%AE%E8%AA%A4%E8%A7%A3%EF%BC%88%E5%A4%A9%E6%B0%97%E3%81%A8%E9%A3%9F%E4%BA%8B%EF%BC%89/#:~:text=%E7%B5%B1%E8%A8%88%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8B%E3%81%A8%E3%80%81%E6%9D%B1%E4%BA%AC%E3%81%AE,1%2C500%E6%99%82%E9%96%93%E7%A8%8B%E5%BA%A6%E3%81%97%E3%81%8B%E3%81%82%E3%82%8A%E3%81%BE%E3%81%9B%E3%82%93%E3%80%82

和歌山市市役所　気温・湿度・降水量及び日照時間
http://www.city.wakayama.wakayama.jp/shisei/wakayama/1001006/1001022.html

※和歌山市は12月と1月の日照時間が短い　138.9時間・145.8時間。いちばん長いのは5月の214時間で、他の時期もほぼ200時間を超える。

京野アートクリニック高輪　ビタミンDについて〜さまざまな視点から〜
https://ivf-kyono.com/column/post-727

体内で必要とするビタミンD生成に要する日照時間の推定
https://www.nies.go.jp/whatsnew/2013/20130830/20130830.html

いそいち産婦人科医院　妊婦のビタミンＤ欠乏　２０２２年改訂
http://www.isoichi-clinic.jp/vitamin-d.html

このブログの執筆者

和歌山の不妊治療・妊活専門鍼灸院　院長　鍼灸師　矢野　泰宏

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