妊活の漢方は、できれば専門病院で処方を。漢方と「証」のはなし　矢野鍼灸整骨院｜和歌山県和歌山市 不妊鍼灸専門の矢野鍼灸整骨院

妊活の漢方は、できれば専門病院で処方を。漢方と「証」のはなし　矢野鍼灸整骨院

漢方薬とは約2,000年前の古代中国で生まれた東洋医学がベースになった、日本で発達した伝統薬です。（中国で発達したものは「中医薬」と呼びます）

漢方薬は生薬という薬草や鉱物などを組み合わせ、相乗効果を生み出すものです。

一般的な薬は「症状に併せて服用する」ものです。

しかし漢方薬は「症状を起こしている人の体質に併せて服用する」のが特徴です。

これを「証」（しょう）と呼びます。

証とは「その人の体質や体力、症状の出方」などで総合的に判断します。

証が合わない漢方薬を服用すると、副作用でますます体調が悪くなることがあります。

そのため、漢方薬はできるだけ漢方に精通した病院で処方するのが安全です。

自己判断だけはNG！漢方薬にもリスクがあります。

漢方薬の効能は科学的に実証され、現在は148種類の漢方薬が病院で処方されています。

容量は病院処方よりも少ないですが、薬局で購入することもできます。

この中には不妊に効果が期待できるものがありますが、気軽に飲むのはおすすめしません。

重大な副作用が出るおそれがあるためです。

漢方薬も薬なので、副作用があります。

漢方薬の副作用は重症になることも珍しくありません。

たとえば小柴胡湯(しょうさいことう)という漢方薬とインターフェロン製剤を併用して、死亡事故が起こったことがあります。

そのため、この2つの薬は併用してはいけない決まりになっています。

麻黄という生薬成分は抗うつ薬や、ぜんそく薬と併用すると副作用が出やすいことが知られています。

ここまで極端でなくても、証が合わないと具合が悪くなることがよくあります。

副作用をできるだけ起こさないために、「証」の基礎的な見分け方を知っておくと安心です。

「実証」と「虚証」

証の基本は「実」と「虚」を見分けること。

古代中国には陰陽思想があり、陰＝虚証、陽＝実証という分け方のベースになりました。

漢方の世界では「健康というのは実にも虚にも偏らない、バランスの取れた状態（平証）」のことで、漢方薬などでバランス調整をします。

・「実証」（じつしょう）

ガッチリした体型で、活発で社交的な性質の人です。

ラグビー部の部員のように元気で声が大きく、体力があり、積極的なのが特徴です。

顔が赤く、高血圧や便秘に悩まされがちな傾向があります。

一見すると健康的に見えますが、無理をして心臓発作などを起こし、急逝しやすい傾向があります。

東洋医学では、実証に偏りすぎるのは不健康と考えます。

・「虚証」（きょしょう）

華奢な体型で一見すると弱弱しい性質の人です。

太っていても、締まりのない水太り体型の人は虚証になります。

体が冷えやすく、消極的、顔が青白い、声が弱いなどの特徴があります。

常に体調が良くないですが、そのおかげで無理をしないので大病を防げる傾向があります。

虚というと悪く聞こえるかもしれませんが、体質の区別に過ぎません。

大切なのは、できるだけ実にも虚にも偏らない、バランスが取れた状態を維持する事です。

漢方薬には実証の人に効果があるもの、虚証の人に効果があるもの、だれでも幅広く使えるものがあります。

虚証の人が実証向けの漢方薬を服用すると、作用が強すぎて吐き気がしたり、胃腸を傷めることがあります。

たとえば、不妊体質改善によく使う桂枝茯苓丸は、どちらかといえば実証向けの漢方です。

症状は「気」「血」「水」のバランスが崩れた時に起こる

東洋医学では、人体には「気」「血」「水」の3つのエネルギーが流れていると考えます。

気（き）は生命エネルギーのようなもので、目には見えませんが「元気」を支える源流になります。

自律神経などを司ると考えられています。

血（けつ）は血液で、全身の臓器に酸素や栄養、ホルモンなどを運びます。

水（すい）は血液以外の体液（リンパ液など）で、免疫や水分代謝などを司ると考えます。

気、血、水は「足りない」（虚血、気虚など）「滞る」（瘀血、水滞など）などでバランスを崩し、様々な不調が起こります。
特に、不妊治療を行う女性に多いのは「瘀血（おけつ）」です。

血が滞った状態で、血行不良になり血液がスムーズに流れない状態です。

月経異常や便秘、イライラ、頭痛、手足の冷え、ほてりなどを引き起こします。

瘀血は顔色が黒っぽくなる、舌の裏側に青い血管がくっきり浮かぶなど、典型的な特徴が出ます。

血流を改善することで症状が軽くなるので、漢方薬の服用や軽い有酸素運動を習慣化すると徐々に改善していくでしょう。

思い悩まないことも大切です。

気が足らない「気虚」も妊活には良くない状態です。

気力が足りず、いつも疲れている、顔が青白い、息切れやめまいが続く、風邪をひきやすいなど、日常生活に支障が出ることがあります。

無理なダイエットや激しい運動で、一時的に気虚になることは珍しくありません。

漢方薬だけでなく、きちんと休む、バランスの取れた食事をゆっくり食べるなど、スローライフを心がけましょう。

漢方薬は、出来れば漢方医の管理下で処方しましょう

漢方薬は生薬と呼ばれる野草などを組み合わせて作る薬です。

なんとなく副作用がないイメージがありますが、証や薬の飲み合わせを考えずに服用すると、思わぬトラブルが起こることは珍しくありません。

そのため、できれば漢方医の処方で服用するのが理想です。

多くの不妊治療の病院では漢方薬も処方しますが、医師があまり漢方に詳しくないことがあります。（漢方の専門医がいる病院もあります）

漢方薬は即効性があるものもありますが、不妊改善に使うものは3ヵ月以上服用して体質改善を試みます。

定期的に血液検査などで副作用が出ていないか確認をしながら、安全に服用しましょう。

もし不妊治療の病院以外で処方を受ける場合は、必ず双方の病院に漢方薬を服用していること、服用している薬の名称と容量を伝えて下さい。

飲み合わせが悪い薬があるので、黙って服用すると思わぬトラブルが起こることがあります。

（参考サイト）
神奈川県HP　漢方薬
https://www.pref.kanagawa.jp/docs/n3x/yakumu/info/kanpou.html#:~:text=%E6%BC%A2%E6%96%B9%E8%96%AC%E3%81%AB%E3%81%AF%E5%A4%9A%E3%81%8F%E3%81%AE,%E3%82%82%E3%81%AE%E3%81%8C148%E5%87%A6%E6%96%B9%E3%81%82%E3%82%8A%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82
再春館製薬所　3分でわかる漢方入門　体質の傾向「証」を知って自分の体に合った養生を
https://www.saishunkan.co.jp/domo/column/lifestyle/constitutional-tendency/

クラシエ　中医学の診断法
https://www.kampoyubi.jp/learn/basic/03_2_3.html

このブログの執筆者
和歌山の不妊治療・妊活専門鍼灸院　矢野鍼灸整骨院　院長　鍼灸師　矢野　泰宏

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