二人目不妊の原因は？その対策は？（後編）｜和歌山県和歌山市 不妊鍼灸専門の矢野鍼灸整骨院

二人目不妊の原因は？その対策は？（後編）

二人目不妊の原因で多いのは加齢とプロラクチンというホルモンの過剰分泌です。

今回は他の原因と対策を紹介します。

どれも改善や乗り越えられるケースが多いので、諦めずに妊活すると二人目も授かる可能性が上がるでしょう。

卵管・子宮のトラブル

加齢でトラブルを起こしやすくなるのは卵子だけではありません。

子宮や卵管などにもダメージを受けやすくなります。

もし一人目の出産が帝王切開なら、子宮や卵巣周辺の組織がお腹と癒着している可能性があります。

卵巣で育った卵子は卵胞という殻に包まれ、成長すると卵巣から外に放り出されます。

それを受け取るのが卵管采（らんかんさい）という気管です。

卵管の先にある手のような組織で、卵巣から放り出された卵胞を掴み取ります。

卵管采から卵管の奥に取り込まれた卵胞は死ぬまで待機し、もし精子が来れば受精卵になります。

一見すると面倒な受け渡しに見えますが、卵巣と卵管を分けることで感染症リスクを減らすと言われています。

しかし手術や子宮内膜症などが悪化すると、この卵管采が癒着して動きにくくなります。

縛られた手で卵胞を掴みに行くようなもので、取りこぼしてしまいます。

これが二人目不妊の原因の一つです。

加齢や感染症の影響で卵管も詰まりやすくなります。

せっかく受精卵になっても卵管が詰まると子宮まで移動できず、育つことができません。

さらに子宮筋腫などが大きくなる、数が増えることで着床が難しくなることもあります。

・対策は？

卵管采の癒着や能力不足を調べる方法は現在のところありません。

問診で手術や子宮内膜症などの有無を聞き、体外受精などで解決します。

体外受精は人の手で子宮に戻されるので卵管采の力が不足しても妊娠できます。

卵管の詰まりはFT（卵管に小さなバルーンを入れて、癒着をはがす手術）で改善します。

ごく軽い詰まりなら通水検査（または通気検査）で改善します。

不妊治療を受けなくても、子供を望むなら検査だけでも行いましょう。

子宮筋腫は手術で取り除くこともできますが、そのままでも妊娠可能と判断されることもあります。

うまく赤ちゃんが筋腫を避けて着床することもあるので、医師と納得できるまで相談しましょう。

男性が原因のことも。精子の質と睡眠の関係

不妊は女性だけが原因ではありません。

男性が原因の不妊もあります。

女性ほどはっきりしませんが、男性も加齢によって妊娠力が低下します。

一人目のときは元気だった精子も二人目のころには元気がなくなることもあります。

男性不妊の原因は加齢だけではありません。

仕事の疲れやストレスも原因になります。

・対策は？

できるだけ休む時間を増やしましょう。

特に睡眠不足は精子の質を下げる原因になることが分かっています。

お父さんは激務で睡眠不足になりがちですが、妊活の時期はできるだけ睡眠時間を確保して質を高めましょう。

精子のコンディションはその時の健康状態、精神状態で大きく変わります。

バランスよく栄養摂取し、しっかり休むと健康を取り戻し、精子の状態も改善しやすくなります。

牡蠣などに多く含まれる「亜鉛」は精子を作る上で欠かせないミネラルです。

サプリメントで補助的に摂取すると、より安心です。

鍼灸を続けることで精子の質が改善することもあります。

リラックス効果もあるので男性にも鍼灸はおすすめです。

二人目不妊の原因・染色体の転座

以上は比較的よくある原因ですが、まれに「遺伝子が原因」の二人目不妊があります。

もし妊娠しても何度も流産を繰り返すなら、遺伝子が問題なのかもしれません。

幸運にも一人目の時は問題が出なかったけど、二人目になってから発覚することもあります。

遺伝子検査は夫婦とも検査を受ける必要があります。

人間の体が細胞の中にあるDNAの情報で出来ているのはよく知られています。

DNA情報は染色体という器官にまとめて記録されています。

人間は通常46本の染色体があり、それぞれに大事な情報が埋め込まれています。

染色体はコピーをして分裂し、細胞を増やしていきます。

その過程で切断しますが、まれに違う染色体同士がくっついてしまうことがあります。

違う染色体同士がくっついてしまうことを「転座」と呼びます。

転座しても染色体の情報がすべて揃っていれば表面上は問題がありません。外見は普通の人です。

しかし子孫を残すときにはエラーが起きやすくなります。

精子と卵子は親から片一方ずつ染色体で作られますが、転座した染色体で作られると遺伝子情報が不足したり、過剰になることがあります。

転座した人と正常な人の精子と卵子が受精すると、1/4の確率で正常な遺伝子が受け継がれます。

1/4の確率で転座した遺伝子を受け継ぎ、これらのケースなら成長することができます。

しかし1/2の確率で遺伝子が過不足の状態になり、この場合は流産します。

これは単純な確率で、お母さんの加齢で卵子の染色体異常の確率はさらに上がります。

・対策は？

体外受精をした上で受精卵を着床前スクリーニング（着床前診断）という検査を受けると妊娠率は上がります。

胚盤胞という、着床する状態まで育った受精卵の細胞を一部取り出し、染色体の情報を確認する検査です。

生命倫理に関わるため検査を受けるための基準は厳しいですが、転座が原因と分かっているなら受ける価値はあるでしょう。

海外の検査期間に依頼するので価格は非常に高く（病院によりますが、1つの受精卵に対しておおよそ10万円ほど）検査結果が出るまで時間がかかります。

着床前スクリーニングを受けた場合、初回で31％以上の方が妊娠、出産できます。

人間の自然妊娠率は最大でも20％以下なので、かなりの確率といえます。

治療費用が払えない方も悲観しないで下さい。たとえ自然妊娠でも68％以上の方が出産可能という報告もあります。

二人目不妊の原因と対策を紹介しましたが、排卵が続く限り妊娠できる可能性はあります。

だからこそ原因を曖昧にして（そのうち妊娠するだろう）と思うのは良くありません。

まずは不妊治療の検査を受け、今後の方針を話し合いましょう。

参考サイト
東京HARTクリニック　染色体転座について
http://www.tokyo-hart.jp/染色体転座について/

日本産婦人科医師会　染色体異常
https://www.jaog.or.jp/note/2%ef%bc%8e染色体異常/

英ウイメンズクリニック　男性の睡眠時間と妊娠力3
https://www.hanabusaclinic.com/weblog/2018/08/19/男性の睡眠時間と妊娠力%E3%80%80その%EF%BC%93/

SANKEI BIZ　男性不妊症の新たな治療法：鍼治療による精液所見の改善効果を確認
https://www.sankeibiz.jp/business/news/180618/prl1806181252055-n1.htm