妊娠率が上がる？！不妊治療中でも性交したほうが良い理由｜和歌山県和歌山市不妊鍼灸専門の矢野鍼灸整骨院

妊娠率が上がる？！不妊治療中でも性交したほうが良い理由

不妊治療を受けている間、特に体外受精など高度不妊治療を行っていれば性交しなくても妊娠できる･･･

理論上はそのとおりですが、理論通りに進まないのが妊娠です。

性交には妊娠率を上げる効果も期待できることが分かりました。

治療が辛くてなんとなくレスに･･･ということはよくあります。

しかし無理のない程度に続けたほうが、より授かる可能性が上がります。

具体的には、これらの作用があると考えられています。
・（女性の）免疫に働きかけ、着床しやすい環境を整える
・胎児の発育不良を防ぎ、妊娠合併症のリスクを下げる

そのままでは妊娠の妨げに？免疫と妊娠の相反する関係

人体には免疫というからだを守る働きがあります。

もし免疫がなければ、あっという間にウイルスや細菌に負けて命を落とします。

免疫は自分か、それ以外かをはっきりと区別し、それ以外を徹底的に排除します。

しかし「精子」や「受精卵」も、体にとっては異物です。

その中でどうやって鉄壁の免疫の壁を乗り抜けて妊娠できるのでしょうか？

精子には「生殖器官に触れて、免疫をなだめて着床しやすい環境を整える」大事な働きがあることが分かっています。

1億のうち、たった1つの精子が卵子と結びつき、残りは敗者･･･などと言われていましたが、これは大きな誤りです。

たとえ卵子にたどり着けなくても、精子には着床しやすい環境作りという大事な役目があります。

オーストラリアとスペインの共同研究で「体外受精の移植日前後に性交をした人、しなかった人の妊娠率」を調査しました。（合計478周期・1343胚）
Hum Reprod. 2000; 15: 2653　https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/11098040/

性交したグループ：23.6％
性交しなかったグループ：21.2％

さらに、妊娠6〜8週まで育った赤ちゃんの率は、大きく変わります。

性交したグループ：胚100個のうち11.01％
性交しなかったグループ：胚100個のうち7.69％

胚移植の前後に精液に晒されると、着床と発育が成功する確率が上がることが分かりました。

精子には子宮を縮める作用があるので、体外受精の移植直後は性交を控えるように指導する病院もあります。

たしかに移植した直後はリスクがあるかもしれません。

しかし移植の前など、支障がない時期に性交をすれば妊娠率が上がる可能性があります。

コンドームを付けても効果がある！性交に妊娠しやすい体質を促す作用も

さらに、精液に触れなくても妊娠しやすい体質になることが分かっています。

調査人数が61人（ボリビア人）と少ないので参考程度にはなりますが、月経サイクルで発生する女性ホルモンとサイトカイン（白血球が出すホルモンのような物質）を調査した研究があります。
文献：Fertil Steril 2014;104:1513
https://academic.oup.com/emph/article/2015/1/304/1798160?login=true

性交を行ったグループ：黄体期（妊娠しやすい期間）に妊娠しやすいサイトカインが盛んに放出された
性交を行わないグループ：月経周期のサイトカインはほぼ一定

この調査はコンドームを付けていても、そうでなくても同じ結果になりました。たとえ避妊しても妊娠しやすい体質になることが示唆されています。

赤ちゃんとお母さんの健康を守る！

さらに、性交は妊娠合併症や胎児の健康にも良い働きかけをすることが分かりました。

妊娠中には尿タンパクが上がることがあります。

悪化すると様々な症状を引き起こしますが、性交の期間が長いカップルほど発症するリスクが下がることが分かっています。

赤ちゃんの低体重症は日本でも深刻な症状です。

過度な体重管理でお母さんの栄養不足が引き起こすと言われていますが、パートナーの精液に触れる機会が増えるほどリスクが下がることも判明しました。
文献：J Reprod Immunol. 2009; 82: 66
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19679359/
この調査は避妊していない状態です。

妊娠後も体調が良ければ、無理のない範囲で性交を続けるほうが母子の健康が保ちやすいという結果になりました。